実は「記号接地問題」に悩む
本屋大賞作品のRe53『成瀬は天下を取りにいく』(宮島未奈新潮社)を読んだ。その続編であるRe54『成瀬は信じた道をいく』も翌日に読了した。主人公の持つ痛快さ、ユニークさがこの物語の骨子となり、確かに面白く読めた。こうした設定がウケるのは、自分も含め読者が彼女に一種の憧れを感じるからに違いない。『隠蔽捜査』の竜崎しかり、古くはTVドラマ(コミックか)の『斎藤さん』しかり、そのいずれもが正義感が強く、日和らない、めったにぶれない…多数がそうありたいと願う人物像を据える。だから「変わっていく」のは本人ではなく周辺人物。読み手は誰かの心境に共感するのかもしれない。そんな思いが浮かんだ。「二百歳まで生きる」と宣言した冒頭に成瀬の真骨頂があり、掲げていく他の様々な目標とつながらないように見えて、一つ一つクリアしてい...実は「記号接地問題」に悩む
2024/06/24 09:27