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北海道職員@荒木洋祐の思うこと、考えること。 https://yosuke0araki.hatenadiary.org/

荒木洋祐が、思っていることや考えていることを、徒然なるままに綴ったもので週1程度の更新をしています。

荒木洋祐
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住所
北海道
出身
富山県
ブログ村参加

2005/05/22

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  • 道ゆく人たち

    今度の年末年始は、二人のドイツ人を思い浮かべながらトルコへ向かった。 一人は皇帝ウエルヘルム2世。イギリスの3C政策に対抗して、ベルリンとビザンチウムとバグダッドを鉄道で結ぶ3B政策を打ち出すも世界大戦に敗退して帝国は崩壊。もう一人はハインリッヒ・シュリーマン。イリアスで描かれるトロイが現実に存在すると信じて生涯をかけこれを発掘した。今回の旅では、黒い服の男たちを背景に世界中のテレビに出るわけにはいかないのでバグダットは断念し、ベルリンからイスタンブールまで鉄道に乗った。そして大晦日はチャナッカレを基点にトロイ観光をした。 起点と終点の航空券だけ購入して、あとは風の向くまま気の向くままというの…

  • 本の楽しみ

    芥川賞の候補作が発表されてから図書館でコピーした候補作を読み、受賞作が発表されるまでの間に私なりの選考をするのが、このページにおけるこれまでの大きな楽しみであった。しかし、中央図書館を含めた札幌市立図書館では予算減少を理由として数年前から文芸雑誌の購入を中止しており、北海道大学図書館でも在庫管理の省力化のつもりなのだろうか年明け早々に前年の雑誌を製本に出してしまうため、この時期は書架の裏側は空っぽになっている。つい数年前、江差にいたときでも、文化センターに間借りしている小さな町立図書館が、北広島市の図書館から在庫を取り寄せてくれるなどして私に選評の機会を与えてくれたのだが、今は何という変わりよ…

  • 魚の天地

    私が生まれ育った富山では、鰤(ブリ)をよく食べる。大根と一緒に味噌で煮込む鰤大根は私にとって定番の魚料理であったし、米の変わりにカブラを用いるかぶら寿司もよく口にした。フクラギから出世した鰤は脂が乗り切っており、これに匹敵する魚はないというのが、小学生の頃の私の常識であった。 仙台の中学校に転校し、初めての太平洋側で驚いたのが秋刀魚の味であった。富山のスーパーに置いてある秋刀魚は脂の落ちたものばかりだったので、秋刀魚はそういう魚だと思っていた。ところが仙台の秋刀魚は脂が乗っており、逆に鰤は耐え難いような食感だった。日本海側の街でも太平洋側の街でも同じ名前の食材を口にすることができるのに、その魚…

  • スポーツの秋・読書の秋

    人に仕事のないときはいつも何をしているかと聞かれると、一週間を振り返り、われながらマンネリ化していることに呆れてしまう。「語学の勉強」という名目でひたすら海外ドラマを楽しんでいるだけなのだ。 たしかに私の現在の中国語と英語の語学力は、海外ドラマなくしては有り得なかったものだし、次は韓流に手を出すことも検討しているなど、今後も延々と見続けることになるだろうが、しかしものには程度がある。そう思っていたこの秋、コナミスポーツクラブへ通い始めた。 コナミが私の職場と提携している関係で、実は3年前の冬にも通っていたことはある。しかし夏が近づく頃、高い会費を払わなくとも暖かければ運動くらい一人でできると考…

  • ラーメンと蕎麦

    北海道の名物といえばカニ、ジンギスカンそれにラーメンあたりをイメージする人が多いのだろうか。しかし、カニは地元でもそうそう食べるものではないし、寒さに弱い羊は畜産のさかんな北海道ではあるけど不得手な食肉の一つである。 ご飯に味噌汁という合わせものを新天地風のこだわらなさでアレンジした札幌味噌ラーメンは、特に凍てつく冬場には、北海道の風土を体現しているともいえるが、その食材にはやはりヨソ者の感がある。麺の小麦も、味噌やモヤシの大豆も道内で生産できるものなのだが、観光ずれしすぎており、既にどさんこではなく、観光客の食べ物になっている感があるのだ。 ただ、すすきのラーメン横丁が賑やかだった時代とは異…

  • とらべるとらぶる

    私の一番の趣味は年に一二度の海外旅行なのだが、一人旅ということもありこれまでにいろいろな事故に巻き込まれてきた。 インドでは(2003年)激しい食中毒に悩まされた。今思えば、ガヤの屋台で飲んだサトウキビジュースがまずかったのだと思う。ジュースはフレッシュでも入っていた氷は生水からできていたのだから。亜大陸一週の旅も後半は冷房の効いた夜行列車で下痢を悪化させる悲惨なものでデリーへ帰還してそのまま通院することになった。たどたどしい英語で症状を説明した後に点滴をし、その間、便の色は紫になったり緑になったり閉口させられた。 中国の西安では(2008年)スリにあった。上海からの夜行列車で西安に入ったのだ…

  • 第1の道

    世紀末のブレア政権は、第3の道ということを唱えて世界の注目を浴びた。アリストテレスや演繹法や実存主義に連なる保守の論理を第1の道と定義し、プラトンや帰納法や構造主義に連なる革新の論理を第2の道と定義すれば、そうではない第3の道と言うこと自体が新鮮だったろう。しかし、戦後日本の自民党政治における経済政策では、3つの道が併存し、しかもその中でメジャーなのは第3の道でマイナーなのが第1の道であるという逆転した構造があった。 第1の道は低負担低福祉の小さな政府。第2の道は高負担高福祉の大きな政府。第3の道は低負担高福祉の政府で穴埋めは国債で後代に残す。世界恐慌時のケインジアンのように臨時の策としては有…

  • 第143回 芥川賞選評

    私が選評を書かなかった前回、芥川賞は該当なしであった。駄作ばかりだったから、選評を書く気になれなかったというつもりではない。しかし、綿矢りさと金原ひとみの同時受賞に味をしめて以来、この賞のノミネートが実力よりも話題性を意識するようになってしまったのは事実であろう。そういった意味で「該当作なし」は、編集部への審査委員からの警告として解すべきである。そして今回、その警告を受けた編集部がどのように応えたか、受賞作よりもその候補作に興味がそそられた。 今回の候補作は、赤染晶子「乙女の密告」(新潮6月号)、鹿島田真希「その暁のぬるさ」(すばる4月号)、柴崎友香「ハルツームにわたしはいない」(新潮6月号)…

  • 小選挙区と比例区

    与謝野馨と舛添要一が相次いで離党届を出した際、自民党は両者を除名処分とした。どこかの国の瀬戸際外交のごとく離党をちらつかせながら条件交渉を続けてきた舛添に党執行部の心証は著しく悪く、その除名は先に決まったものの与謝野には同情論がないこともなかった。しかし最終的に、両者ともが比例代表制での選出であることを決め手として除名に落ち着いた。 衆議院議員の場合、小選挙区当選組を金、比例代表単独による当選組を銀、重複立候補しての比例代表当選組を銅というように人事で歴然とした区別をつける政党が多い。金星が選挙区民の民意を得ているのに対して、銅星においては選挙区民が不支持だったにも関わらず政党の枠で当選したの…

  • ネット右翼

    ネットが便利な世の中になり、私も新聞を購読せずYahoo!ニュースで済ませる毎日なのだが、ネットの双方向性というのだろうか、ニュースには読者がコメントを載せることができる。政治記事に寄せられるこのコメント、右翼の集まりかと思われるような過激なものがほとんどである。 政権交代前には、私もさほどの違和感も覚えなかった。右の読売産経と左の朝日毎日という軸があるのは当然のことであるが、その政府のあり方に問題提起するというのはマスコミの特性であるから、政府の欠点をあげつらう記事が多くなるのは致し方ない。そのような中で、政府与党の批判も結構だが、野党にも問題が多いんだというネットコメントの論調は、それ自体…

  • 闖関東

    先月の連休に冬期休暇を足して5日間で中国東北を旅行した。ここ数年で3回目の中国となってしまったが、今回は自分の語学力を試す旅であり、また前二回とは大きく異なるものであった。大連を基点とした旅は、東亜の現代史の縮図を踏むことでもある。旅順を往復してから夜行で哈爾浜まで北上し、満州国の新京こと長春、後金の都である奉天こと瀋陽を経て北朝鮮国境の丹東に至る旅程には数多くの歴史上の舞台があった。 世界遺産の故宮と陵を有する瀋陽はこの旅程のハイライトであるし、丹東の断橋から観る北朝鮮の風景も話題性がある。しかし、記憶に最も強く残ったのは、瀋陽から丹東への鈍行列車における乗客同士のほろ苦いやりとりであった。…

  • 統帥権の独立と文民統制

    統帥権の独立という言葉は、軍部暴走の代名詞となっている。軍部の気にくわない人間に組閣の大命が降下されても、軍部大臣現役武官制をタテに軍部が陸軍大臣の推薦を拒み、内閣そのものを流産させるという形での政治介入は大日本帝国憲法の下において頻繁に行われた。しかし、軍の政治介入は統帥権の独立から必然的に導かれるものではない。戦前の過ちは制度にあったのではなく、制度の運用にあった。 そもそも軍事と監察を行政権から分離するという構成の歴史は古代にまで遡る。漢において三公とは丞相(司徒)、御史大夫(司空)、大尉(司馬)のことであったが、概ねそれぞれの管轄は、行政と監察と軍事であった。唐の頃になると、行政権は三…

  • 厳禁論と弛禁論

    今年の大河ドラマ「龍馬伝」は、黒船の衝撃から物語が始まるが、より衝撃的な開国を強いられたのは中国の清だろう。むしろ清の開国から十年以上もの猶予を与えられた日本だからこそ、庶民の衝撃はともかくとして幕府が早期に開国の判断を下し、近代化への道を歩むことができた。 その中国が開国を強いられたのが阿片戦争。真っ先に産業革命を経験したイギリスの武力に遅れを取った中国が敗れて半植民地化するきっかけになったというのが阿片戦争の評価だが、この当時でもGDPベースでは中国の方がイギリスとは比較にならない経済力を持っていたとされる。経済力で世界1の中国にイギリスが比肩できるようになるのは、中国に次ぐ経済力を誇って…

  • 沈まぬ太陽

    ここでは、労働委員会に在籍していた頃から教材としていた作品であり、咋秋に待望の映画化が実現した山崎豊子の大作「沈まぬ太陽」のことを論じるのではない。恒例となった年末年始の旅行、今回はマグリブ(日の没する国)の西端モロッコからかつて日の沈まぬ帝国と謳われたスペインまでの旅程をとったからだ。9連休を全て旅行に投入したとはいえ、往路1日と時差の関係上で復路2日を費やすから実質的に6日しかない。?カサブランカに上陸してマラケッシュ、?ラバトを経由してフェズ、?メクネスを経由してタンジェ、?フェリーでアルへシラスへそしてバスでセビリヤへ、?セビリヤから新幹線でマドリッドへ、?マドリッドから日帰りでトレド…

  • 中国ドラマ

    私は3年前の秋頃から、字幕も音声も英語にして映画を見るようになった。そして2年ほどの間に、映画から連続ドラマへ、英語から中国語へ、GEOやTSUTAYAから孔子学院の無料貸出へと重点を変えながらも、語学の学習ツールとしてのテレビの役割はますます大きくなるばかりである。いつしか中国語も英語並みには話せるようになったが、それと同時に数多くの中国ドラマを楽しむことができた。 中国ドラマといえば、一に台湾ドラマで二に武侠モノが想起される。しかし、ヒットした台湾ドラマの多くが日本の少女漫画を原作としていることもあり、言葉以外は輸入品であるという実感を拭えない。また武侠小説の世界には金庸という大作家がいた…

  • 家畜と果樹と

    一昨日11月19日は、農業協同組合法が公布されたことにちなんで農業協同組合の日とされている。私は、役所で農業協同組合と農業共済組合に係る事務を担当していることから、なにがしかのイベントに参与できるのかと期待したのだが、肩透かしに終わった。しかし、家畜共済と果樹共済を分担している者として記憶すべき楽しい日にはなった。 まず、最終日を迎えた北海道競馬。私は農政部へ来るまで、25%を控除されるため期待値0.75の競馬には全く関心がなかった。まあ、期待値0.5の宝くじよりはマシという認識はあったが。夏頃、試しに数枚を買ってみたが当たりはなし。それが15頭立ての最終第12レースで本命コパノカチドキの単勝…

  • 漢とローマ

    奇しくも紀元前202年という年はユーラシア大陸の東西において歴史を決する戦いがあった年として記録されている。東は垓下において劉邦が楚を破り漢による中国統一が達せられ、西はザマにおいてスキピオがカルタゴを破りローマによる地中海の覇権が確立した。垓下もザマも合戦としての完成度は鉅鹿やカンネーに劣るし、将軍としての存在感は敗者である項羽やハンニバルの方が際立っていた。しかし、その劇的な面白みの薄さにも関わらず、数百年にわたって世界に君臨した大帝国の草創として記憶されているのである。 東洋史と西洋史の融合が困難な故かあまり論じられることはないが、この双子の帝国は驚くほどに類似した特性を持っている。 第…

  • 世界一周

    旅好きの人間にとって極めつけの旅はやはり世界一周ではないだろうか。もっとも、青年期には充分なカネがなく、壮年期には充分な時間がなく、老年期には充分な体力がないから単なる憧れに終わってしまう人が多い。人生に一度だけでもいいからやってみたいと思える旅である。 世界一周というとスターアライアンス、スカイチーム、ワンワールドの三大航空連合などが格安航空券を設定しているが、これは私の夢見る世界一周ではない。航空機内は外界とは隔絶した世界であり、航空機の出発地と到着地の間はワープにも似た感覚ゆえに線で結ぶことができない。果てしない大地や大海原を突き進んだ果てにもといた地点に戻ってくることでこそ地球が丸いこ…

  • 石田三成と直江兼続

    NHKの大河ドラマが好調である。篤姫に続いて天地人も高視聴率だという。しかし、若手を起用してホームドラマ風に仕立てるという最近の傾向には違和感も感じないではない。たしかに一時的な視聴率には資することになろうが、それではあえて大河である必要性もないからだ。それに私は、玄人好みと言われる直江兼続を大して評価していない。 兼続は、まず戦下手である。兼続の人生における分岐点は、御館の乱、魚津城攻防、長谷堂城攻防の三つだろうからそれぞれみていきたい。御館の乱の際は、ドラマの創作はともかくとして年少の兼続が積極的な役割を演じたということはないだろう。時局を見誤った北条氏政と武田勝頼の失策により身近な人物が…

  • 第141回 芥川賞選評

    私にとって芥川賞の候補作発表から受賞作発表までの十日余りは、現代小説を読む半年に一度の貴重な機会である。しかし同じように考えているのは「メッタ斬り!版 芥川賞直木賞選考会」の豊崎由美と大森望だけなのだろうか。今回は、彼らより早く選評を出すことができたので少々気分がいい。 今回の候補は六作品。どの作品にも共通しているのは疲れである。社会経済の環境が急速に悪化していく中で、自分の生き方を厭世観をもってみつめるとき、その倦怠した有り様は一見すると芸術的にみえる。しかし、そのまどろみは時代に流される受け身のものゆえ、夢想は既に破綻をきたしている。これを補えるようなエネルギーはどの作品からも感じられず、…

  • 旅行の荷物

    私にとって、最初の海外ひとり旅はインドだったけれど、このときはトランクを引っぱっていった。施錠できる頑丈なトランクは非常に重く、舗装が充分でないインドの砂利道で車輪はすぐにダメになった。金庫代わりの安心感はあったけれども、トランクごと盗まれる危惧までは払拭できず、いつもトランクと体が接触しているよう意識していた。 その後、毎年の海外旅行の中で、私の荷物は徐々に少なくなっていった。荷物が少なければ、体力の消耗が抑えられ、機動力が飛躍的に伸びる。出発前の荷物の吟味は、そういう意味で時刻表の精査と同様、旅を豊かにするものだろう。 もっとも絶対に必要なものはある。まずパスポート(国によってはビザ)、往…

  • 市営地下鉄

    JRの一日散歩切符は、近郊の普通列車が乗り放題で一日2200円、いろいろと使い勝手がよい。これに対して札幌市営地下鉄のドニチカ切符は乗り放題で500円。それでも、魅力的な商品には感じられない。魅力的でないのは、切符の特性というより、地下鉄の路線そのものに問題があるからだろう。地図を眺めても地下鉄の沿線にこれといって興味をひかれる場所はない。 札幌市営地下鉄の三線のうちもっとも評判が悪いのは東豊線である。札幌オリンピックを機にはじめて営業した南北線と、以前から札幌の軸であった東西の交通において国鉄を補完した東西線。この十文字と比較して東区や豊平区の住宅地と中心部を結ぶだけの東豊線の役割はバスでも…

  • 財布の管理

    景気が一向に良くなる気配のないまま、既に金融危機から半年が経ってしまった。財政危機のため、われわれ北海道庁の職員は給与削減が続けられているが、今度は賞与の方も雲行きが怪しくなってきた。まあ、給料分の働きをしているかと叱られればうなだれるしかないし、このご時世なにを贅沢なことをと言う向きももっともなのであるが。 入るを計りて出を制すというのが、サラリーマンの場合、入るほうは会社との関係次第なのですぐにどうにかなるものではなく、家計を管理することは概ね出を制することと重なる。私の場合、三つの家計管理策を併用することにしている。 第一はクレジットカードの多用。私の使っているJALカードでは、200万…

  • 更新拒否の嵐の中で

    昨秋の経済危機の頃から新規学卒者の内定取消と契約社員の雇用契約更新拒否が大きな問題となっている。 内定取消が社会経験に乏しい学生にとって大きな衝撃であるのは理解できるが、第一志望の会社の囲い込みにあって他社を回れなかったあげくに内々定をもらえなかった私としては、自分自身に引き比べてとりわけ特異なことであるとは思われない。そもそも、縁のなかった会社なのだから、入る前に関係を清算できた方がよかったのだ。新規学卒者を取り巻く環境は年によって大いに異なっており、もっと違う年に生んでほしかったと親を恨んでも仕方がない。その運命的な設定を、社会の中で修正していくことこそが20代30代に必要なのことである。…

  • 被害者の裁判参加

    2日前のとある傷害事件の公判において、被害者が裁判中に被告から暴言を浴びせられて泣き出すというハプニングが発生したという。テレビドラマなどではよく見られる風景だし、発言内容も反論の域を出ない程度のものであったから、私などは占い師だという30代被害者女性の個人的な問題だと思うのだが、被害者の裁判参加による二次被害の懸念といった文脈で報道されているようだ。 犯罪被害者の立場が注目を集めるきっかけになったのは、10年前の光市母子殺害事件だろう。残虐きわまりないこの少年事件で、被害者の夫である本村洋さんの「被告の人権は語られるのに被害者の人権は語られたことがない」との痛切な叫びが、犯罪被害者保護という…

  • 第140回 芥川賞選評

    30歳の誕生日を期して定期購読している雑誌のうち「法学教室」と「文学界」をやめたのだが、それ以降、本稿の芥川賞予想がどうも当たらなくなっているようだ。この間の各回の受賞作にはケチをつけたいところもあるし、受賞者が誰一人として受賞を契機として純文学の潮流をリードする位置に躍り出ていないことに鑑みると選考委員の判断には疑念も残る。しかし、だからといって私の読み方だけが当たっていたともいえまい。まあいい。自分自身への不安を感じながら、行間を追うことそのものにも、純文学のおもしろさがあるのだから。今回の候補作は、鹿島田真希「女の庭」、墨谷渉「潰玉」、田中慎弥「神様のいない日本シリーズ」、津村記久子「ポ…

  • 千円の最低賃金

    この10月、北海道の最低賃金は「2年連続の大幅増額」で667円になった。644→654→667というのは、これまでの上げ幅からみれば確かに大きいし、3時間2千円という働かせ方が違法になったという意味では今回の改正も一応の意義があろう。しかし、いわゆるワーキングプアをなくすという価値観でみると最低賃金が千円は必要になる。 時給千円というと随分と割がいいように聞こえるがどうだろうか。フルタイム労働者であれば、一日8時間・週5日・年50週の勤務として年2000時間だから年収200万円に過ぎない。これに厚生年金15万円、国民健康保険8万円、所得税7万円、住民税14万円を控除すると手取りは150万円強。…

  • アジア外交

    オバマ上院議員の大統領当選は国内外で好意的に受け止められているようだ。アメリカンドリームを体現したかのような若き指導者の登場により、ブッシュ政権への落胆は期待に変わろうとしている。しかし日米関係にとって、政権交代は必ずしも好ましいものではない。最近では、日米関係が最悪だったのはクリントン政権であり、最も良好だったのがブッシュ政権だった。そしてオバマ次期政権で外交の中軸を担うと目されているバイデンも民主党きっての親中派である。 いったいどうして政権政党にこのような相違がみられるのか。右の共和党の場合、西側陣営の盟主という立場から、アジアにおいて同じ陣営に属する日本に最も親密感を有することになる。…

  • 嫌中感情

    小学生のとき、世界中の人が協力しあい理解しあうことが大切だと教わった。そのとき、そんな当たり前のことを大の大人が真面目な顔で言うのはどうかと思った。しかし、小学生でも自然に受け止められる当たり前のことが大人には非常に難しいようだ。日ごろ政治経済の多方面で主張を対立させている保守陣営と革新陣営が、外国を排斥するという一点だけはなぜか共有している。保守陣営の場合、日本という国に誇りを持ち、日本を正当化するあまりに、日本と対立する外国の立場を受け入れようとしていない。革新陣営の場合、外国の影響によって国内における弱者の生活が脅かされることを恐れる。それゆえ、自衛隊反対などの活動には熱心でも、外国に対…

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