何卒、そなたの白い肌を私にだけ、お見せくだされ1-1
四月を迎え、署内の顔ぶれが一新。どことなく初々しい署員もちらほら見受けられる。決して初めての仕事ではないであろうに、しかし歩き方のぎこちなさは拭えない様子で行き交う署内のエントランスをいつものように熊田はゆったりと音を立てずに幅広の硬質な階段を一段一段上った。書類を持った女性に挨拶、そのついでに健康診断を必ず受けるようにとの宣告が言い渡される。まるで、竹を割ったようにそれまでは平然と書類に目を通して階段を下りていたというのに、まったく、朝に女性特有の高い声を聞くのは割に合わないぐらいに頭蓋骨に響く。 二階のある一室。熊田はこの部署のナンバーツーである。彼の上司、部長という人物はその正体を隠すよ…
2025/05/31 12:30