渋谷の自動販売機。その奥に、俺の求める「一息」があった。
ふぅ…渋谷か。相変わらず人が多いな。この喧騒の中を歩いていると、どうにもこうにも、胃のあたりが落ち着かない。何か…何か、このざわつきを静めるものが欲しい。 と、足を止めたのは、なんだ? これ…イベント、か? 「綾鷹 ヒトクチヒトイキ茶室」…ほう。茶室ねぇ。渋谷のど真ん中で茶室とは、洒落てるじゃないか。 しかし、入り口は…自動販売機? なんだ、これは。見慣れた自動販売機が、どうにも様子がおかしい。これが、入口だと? 面白い。まるで…まるで、秘密基地にでも入る気分じゃないか。こういう、ちょっとした仕掛けに、俺は弱いんだ。ふっ。 意を決して、その「自動販売機」の扉を開ける。ギィ…と、音がしたような、…
2025/05/19 06:28