消える海辺の白い足跡
Hさんがその話を聞いたのは、地元の漁師である叔父からだった。 その漁師町には昔から奇妙な噂があり、干潮時の夜に現れるという「白い足跡」の話だ。 「誰かが歩いた跡のようなんだけど、途中で必ず消えるんだ。 消える場所の近くでは、妙に風が冷たくなる」 叔父はそう話しながらも、それ以上詳しく語ろうとはしなかった。 好奇心を抑えきれなかったHさんはその話を友人たちに伝え、一緒にその足跡を探しに行くことになった。 時期は夏の終わり。 夜の海風は涼しいがどこか湿り気があり、浜辺には波の音だけが響いていた。 干潮時刻を狙い、Hさんたちは懐中電灯を手に砂浜を歩いた。 しばらく歩いたところで、友人の一人が小声で言…
2024/11/27 16:03