アガサ・クリスティ『ハーリー・クィンの事件簿』(創元推理文庫)
収録作品 「ミスター・クィン、登場」 「ガラスに映る影」 「鈴と道化服亭にて」 「空に描かれたしるし」 「クルピエの真情」 「海から来た男」 「闇のなかの声」 「ヘレネの顔」 「死せる道化師」 「翼の折れた鳥」 「世界の果て」 「ハーリクィンの小径」 眼前で繰り広げられる人間ドラマを観察することを趣味としているサタスウェイト老紳士が視点人物となる。彼の前にクィン氏という謎の人物が現れることで、複雑な人間関係が絡んだドラマが発生する。 まずキャラクター設定が面白い。今まで読んできたポアロ、マープル、トミー&タペンスシリーズ、およびノンシリーズ作品とは違って、クィン氏という人物が非常に幻想的な存在…
2024/06/29 13:44