さみしさが母から香る星月夜 身体がさみしさを発している。その夜、ベッドに三日月のような形で眠って
浮腫なき母の素足の小さきこと 母の足は夏でも冷たい。そして、いつもむくんでいる。心臓の機能が衰え
紙風船しぼみて子なる時了る 母が私の名前を呼ぶことはほとんどない。息子だと認識している時間はある
冬菫ちよんと突いて母を看に 「菫程な小さき人に生れたし」(※)夏目漱石。ある解釈には、この句の「
秋の夜の母の入れ歯の大・捜・索 ついに入れ歯は出てこなかった。車椅子のクッションの下、枕カバーの
打水をして往診の刻まだし 往診を待つ間というのはどこか落ち着かない。足を骨折して車椅子生活になっ
母が吾を摩ってくるることもあり父にも然るときやありけむ 母が私をさすってくれる。母のベッドを低床
わが父は献身の人梅真白 父や母を詠んだ句に「わが父」「わが母」と詠んだ句はほぼない。もっともだ。
三分の一ほど風邪という老母 母の嚏は一回では終わらない。なぜか一度くしゃみが出ると、十回近く続く
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