文学との出会い
私は、今でこそ法律系の専門職である行政書士開業に向けて活動していますが、もともとは、法律よりも先に文学に興味を抱いた人間でした。 私が「文学」というものに決定的に出会ったのは、高校二年生の時でした。 家の本棚に置いてあった夏目漱石の『こころ』を、たまたま手に取って開いた私は、はじめの一節を読んだ瞬間、体中に電気が走ったような衝撃を覚えました。 「私はその人を常に先生と呼んでいた。だから此所でもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。これは世間を憚かる遠慮というよりも、その方が私に取って自然だからである。私はその人の記憶を呼び起すごとに、すぐ「先生」と云いたくなる。筆を執っても心持は同じ事である…
2023/02/28 19:40