グランデ・アモーレ──ある赤の創造 文字数:1682
《グランデ・アモーレ──ある赤の創造》2000年代初頭、コルデス社は新世紀にふさわしい“象徴的な赤”を探していた。すでに世界には無数の赤いバラがあり、愛や情熱をテーマにした品種も飽和していたが、彼らが目指したのは“永遠の赤”だった。この赤は、単なる濃さではなく、「意志のある赤」でなければならない、とリード育種者は語っている。無数の交配と選抜が繰り返される中、ある一株の蕾が、他のどの花よりも深く濃く、しかし光を内側から発するように開いた。その第一号は、朝露を受けたとき、花弁の縁にわずかな銀の反射を浮かべた。まるで内側から語りかけてくるような、堂々とした存在感だった。彼らはこのバラに「グランデ・アモーレ(偉大なる愛)」と名づけることに決めた。それは一瞬の恋ではなく、生涯をかけて一人を愛し抜くような、重く、静か...グランデ・アモーレ──ある赤の創造文字数:1682
2025/06/14 12:47