骨董商Kの放浪(47)

骨董商Kの放浪(47)

ぼくは地下鉄に乗り、途中の駅でピカデリーラインに乗り換えると、ラッセルスクエアで下車した。小さな駅である。狭苦しい改札口を出るとすぐに一台のエレベーターがあった。ずらりとひとが並んでいる。ぼくはすぐ右側の階段の方の出口にちらりと目をやったが、そのままエレベーターで待つ人垣のなかに身を置いた。 ロンドンに到着した翌日、ぼくは大英博物館へ行くためにこの駅に降りた。このときエレベーター前の混雑をみて、階段の方が早そうだと思いそちらへ向かったのだ。現に二人の若い男性が階段出口へと駆けていった。ぼくもそのあとに続いて階段を登り始めたわけだが、なんということか、螺旋状の階段はいくら登っても明かりが見えてこ…