燃え殻 二村ヒトシ『深夜、生命線をそっと足す』
思春期をしくじって大人になった人間の多くがそうであるように、私もまた、生真面目な性格をしている。責任感も強い。 と、自分で自分のことを立派な人間のように語ることの厚かましさ、格好悪さ、鼻持ちならなさ、は分かったうえでも言わなきゃやってられないような世の中である。 生きづらいなあ、と声を大にしては言いにくい年齢になってしまった私だが、でも、少なくとも生きやすくはないですよね、と、ふんわりした感想くらいだったら口にしても良いだろう。まったく毎日がくたびれるよ。 しかし、『深夜、生命線をそっと足す』を読んだら少し気持ちがほぐれて、楽になった。血行も良くなった気がする。 本書に収録されている燃え殻さん…
2022/12/14 00:19