阿部和重『Ultimate Edition』
「もちろんほんものではないし、わたしはほんものなど見たこともないが、しかしこれがほんものだと言われたらあっさり信じてしまうだろう。それほどのものだ」 (p.12 「Hunters And Collectors」より) 阿部和重さんの小説を読んでいると、私はいつも、ディズニーランドを連想する。 ひとたび園内に足を踏み入れると、外界のいっさいの風景は遮断されてしまうということに代表される、ディズニーランドの現実(を見えないようにする)へのこだわりと、 何年何月何時何分の何処そこにて、と実在する日時と場所を特定し、さらにその時の天候や実際にその近辺で起きていた出来事までもを小説内に取り組むという阿部…
2022/11/26 23:39