トーベ・ヤンソン『小さなトロールと大きな洪水』冨原眞弓訳
とにかく、これはわたしがはじめて書いた、ハッピーエンドのお話なのです!(「序文」より) ムーミン小説の第一作目にあたる『小さなトロールと大きな洪水』はきらめきにみちている。ちょっぴり不気味で、どこか不思議な物語空間を、ムーミントロールとママが冒険する。もちろん読者の私もいっしょに冒険。楽しいよ。個人的には、本作のムーミントロールが一番かわいらしいと思った。 本作以降に発表された8冊の小説を読み終えている私は、彼らとの冒険を楽しみつつも、「あ、このイメージはあの作品のあそこに出てくるやつだ」的な箇所を見つけてはひそかに興奮していた。 たとえば、「百歳近くになってメガネをなくしたコウノトリのおじい…
2022/10/22 23:10