『まぼろし峠』 佐々木味津三
まぼろし峠:佐々木味津三 1932年(昭7)平凡社刊。 1935年(昭10)平凡社、佐々木味津三全集第5巻所収。 1970年(昭45)番町書房、カラー版日本伝奇名作全集第6巻所収。 佐々木味津三の代表作は「右門捕物帳」と「旗本退屈男」のシリーズ作に尽きるのだが、その痛快娯楽作とはひと味違った歴史小説も書いている。この「まぼろし峠」もその一つで、主人公は豪放磊落な剣の達人大庭陣兵衛。大政奉還による旧幕府体制の崩壊に不満を募らせた武士たちは、彰義隊として上野の山に立てこもったが、薩長を主体とする新政府軍に撃破される。陣兵衛は当初江戸の町民とともに中立的に推移を見守るが、次第に新政府軍の兵士たちの横…
2025/03/31 20:15