上か下かを問題にするだけの生き方
先日、西加奈子さんの『サラバ』を読んだ。同書に以下の文章があった。 「あなたは誰かと自分を比べて、ずっと揺れていたのよ。」 僕の好意さえ、誰かに監視されたものだった。 みんなが見て羨ましがるような女か、恥ずかしくない女か。 主人公は幼少期より常に人の顔色をうかがって生きてきた。そしてそれは人からどう見られるかだけを問題にする生き方でもあり、人を見下し続ける生き方でもあった。 そして幸運なことに、人から良く見られるように振る舞うことができたし、人を見下しやすい境遇でもあった。 外見にも恵まれ、サッカー部に所属し、面白い友人たちに囲まれ、異性からモテて、華やかな仕事にありついていた。 しかし、主人…
2023/05/20 09:22