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千里眼㉙
暫くすると事務所に女性陣が戻ってくる。 「お疲れ様です」「です」「あぁ…お疲れ様」 さすがにこの時ばかりは考え込んでいる私の顔を見て、イジってくるような真似は…
2023/08/31 10:43
千里眼㉘
「卓と一緒に暮らしていた頃を思えば何ともありません」「…… 」 意外な返事に戸惑い言葉を失ってしまう。言葉尻を捉えれば「もう和解するつもりは無い」とでも言って…
2023/08/30 12:53
千里眼㉗
その後も垣内恵美と約30分ほど話し合ってはみたのだが、どうにも要領を得ずに焦りだけが段々と大きくなってしまう私。一方、垣内恵美は相変わらず非は旦那側にあり、自…
2023/08/29 10:26
千里眼㉖
「その件は無事に仲直り出来たのですか? 」「はい…後から帰って来た卓と話し合って夫婦間ではそれなりに仲直り出来ましたが… 」「義理のご両親とは? 」「それ以来…
2023/08/28 10:27
千里眼㉕
そこまで話したタイミングで、ドアをノックする音がした。 「はい、どうぞ」「失礼します… 」 狩野先生からの気遣いなのか、最初に出た日本茶に続いて白いティーカッ…
2023/08/27 08:50
千里眼㉔
「せっかくの機会です。垣内さんも普段僕と話している事、また、話せなかった事も含めて色々梅ちゃんに話してみたらいいと思う。好きなだけここを使っていいから」「………
2023/08/26 10:01
千里眼㉓
「垣内さん」 何かを思い出したのか、少々興奮気味に話す垣内恵美に狩野先生が声を掛ける。 「垣内さんの気持ちはよく分かるけれど、その内容は互いの価値観の違いだか…
2023/08/25 17:04
ギブアップ!
平素よりヘンテコ書き物をご覧頂き誠にありがとうございます。 本日は朝から急遽証拠撮影が入り、思わぬバタバタ劇になってしまいました。決まっていたスケジュールはほ…
2023/08/24 19:52
千里眼㉒
「垣内さん、こちらが探偵の梅木さん」「はぁ… 」 狩野先生に言われるがまま、私は立ち上がり彼女に名刺を差し出した。 「垣内さんに説明しておくね。梅ちゃんに事前…
2023/08/23 15:53
千里眼㉑
狩野先生が内線ボタンを押すとすぐに女性の声が聞こえてくる。 「はい。伊野です」「伊野さん、垣内恵美さんに入って貰って下さい」「かしこまりました」 そんな短いや…
2023/08/22 14:51
千里眼⑳
「今回は、この旦那さんの行動を調べて欲しいんだよ…」「はい… 」 蓋を開けてみれば、何の事は無い、所謂「行動調査」であり、いつもの業務と大差は無い。 「それで…
2023/08/21 11:25
千里眼⑲
相談室のドアが閉じられると、また、さっき通ってきたフロアの廊下みたいにシンとした空間に戻ってしまう。ここもまた、ビルの内部と同じように余程しっかりした防音対策…
2023/08/20 10:20
千里眼⑱
約束の時間、10分前になった。私は最後の煙草を吸いながら、少し落ち着かない様子で灰皿を手に取る。 「さて…そろそろ行きますか… 」 煙草の火を揉み消し、灰皿の…
2023/08/19 19:47
千里眼⑰
年が明け、1月も10日近くになってくると、世の中が動き出した感覚は確かにある。 狩野先生の事務所に続く国道は、昼間の早い時間であるにも関わらず、乗用車と商用車…
2023/08/18 13:21
千里眼⑯
狩野先生と約束していた8日は、今年に入って初めて、朝から小雨がぱらついていた。 元旦から好天が続き、すっかり乾燥しきっていた道路のアスファルトには、それなりに…
2023/08/17 11:18
千里眼⑮
私はかつて、これ程世の中の「不条理」というものを感じた事は無かったと思う… 何故に大事なスーツ1着を事務所でオシャカにしてしまった挙句、遠慮というものも知らな…
2023/08/16 11:28
千里眼⑭
「どうだ!ははは!!!( ̄∇ ̄;)ハッハッハ 」「しゃちょー!! 」 私の高笑いが早いか、ひーの叫び声が早かったのか。次の瞬間だった。 「ぱ~んっっっ!!! …
2023/08/15 11:19
千里眼⑬
「ふふん、この私を見縊るなよ… 」 私は得意げに鼻を鳴らす。今まで何度こんな修羅場を潜り抜けてきた事だろう。この仕事に下足を付けて早20年余、お前達が考える様…
2023/08/14 11:45
千里眼⑫
3人のバカスタッフが、そんな私の陰口を叩いている事なんか知る由も無く、私は山盛りに重なったスーツの中にいた。 「ヤバい…全滅だ」 分かってはいた事だが、ここま…
2023/08/13 04:12
千里眼⑪
「おっさん社長、遅いっすねぇ… 」 Yがそう呟きながら、口を大きく開いたまま、煙草の煙を乱暴に吐き出した。 「だってYさん、最初から分かってた事じゃないですか…
2023/08/12 15:47
千里眼⑩
「…… 」 思わず黙り込んでしまう。自分から「キャンセル」とは言い辛い。だからと言っていつまでも裾上げしたズボンを穿いたままボーッと突っ立ている訳にもいかない…
2023/08/11 12:20
千里眼⑨
「へ!?9日?? 」「はい…今、成人式のシーズンですので… 」 表情を曇らせ申し訳なさそうに彼女はそう言った。 「ちょ…ちょっと待って下さい。ここで待ちますん…
2023/08/10 10:48
千里眼⑧
「うん、よくお似合いですよ」 紺色のスーツを上着だけ羽織って鏡を見る。良くお似合いもへったくれも無い。ごく普通のスーツ。お姉さんのどんなに素晴らしい方便を聞く…
2023/08/09 11:35
千里眼⑦
車の中の私は、アクセルを踏みながら兎に角、慌てている。絶体絶命のピンチだと言っていい。 「あそこの大きな交差点に紳士服の丸山あったな!そうだ!あそこ行こう!!…
2023/08/08 13:07
千里眼⑥
「そ…そんな事は… 」「あります!社長はいっつもそう、言い訳して誤魔化すじゃないですか!口だけは変に超1流なんだから」「くぅぅぅぅぅ… 」 Sさんがそう声を荒…
2023/08/07 11:11
千里眼⑤
携帯電話を見ると狩野先生からの着信。私は慌てて電話を取りながら時計に目をやった。事務所に戻られる予定の午後3時にはなっていない。まだ2時を少し過ぎた時ばかりだ…
2023/08/06 11:51
千里眼④
「あけおめっす! 」 最後に出社してきたのは元旦以来、1番会いたく無かったFuck!Yくんだった。 「明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします…
2023/08/05 09:37
千里眼③
「やっぱり覚えちゃいなかったなぁ… 」 何度か電話でやり取りした事はあるのに…と、少々いじけつつ電話を切った。勿論、電話を掛けた私だって向こうの声を覚えちゃい…
2023/08/04 12:40
千里眼②
結局、先生も昨年1年間の激務を終えて、年の初めくらいはゆっくりなさっているだろうとの思いから、この日の電話は敢えて避ける事にした。 勿論、新年早々に掛かってき…
2023/08/03 13:15
千里眼①
【千里眼】 (読み) せんりがん遠方の出来事や将来の事、人心の奥底などを見通す能力のたとえ 「千里眼」などという、安易な言葉で片付けてしまえば、如何にも胡散…
2023/08/02 17:05
もひとつおまけに
いつも弊社のブログをご覧いただき誠にありがとうございます。 本日1話をアップするか否か悩みましたが、思うほど書き進んでいない事を理由に、もう1日だけご猶予を戴…
2023/08/01 17:36
2023年8月 (1件〜100件)
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