約定の蜃気楼 最終話
突如姿を現し、いきなり発言を試みようとするレーテを司祭は制する。 「レーテや、およしなさい」 だが他の長達の寛大な計らいに依って発言を許されたレーテは、携えて来たものを皆の前に出し、こう言いだすのだった。 「まずこの籠に入れられた二匹の蝶と二羽の小鳥をご覧になって下さい」 長達は怪訝そうな顔をしながらもレーテに従い無言のままそれをじーっと見る。次にレーテは籠の扉を開き蝶と鳥を解き放った。すると蝶も鳥も颯爽と飛び立ち、開けていた窓から外に出て行ってしまった。その後も元気よく、勇ましく、優雅に、そして愛らしく飛び回る蝶と鳥の姿は人の心を癒やしてくれる。こうして再度口を開くレーテ。 「どうです、皆様…
2021/06/30 19:24