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人生は花鳥風月 https://saga135.hatenablog.jp/

自分の趣味であるギャンブルや読書、水泳、魚釣り、ゲーム、動画鑑賞等を中心に世相や人生観、様々な事を綴っています。 言ってみれば何でもありなブログです。

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2021/01/18

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  • まほろばの月 十七章

    寒い冬に見る花鳥風月といえばやはり雪が思い浮かぶ。風花雪月、この日東京には雪が降っており、真っ白に染まった街は美しくも切なく、鳥は巣に籠り或いは南方へと避難し、雪が被さった花はその姿を潜め辛抱強く春の到来を待ちわびる。そんな中、太陽と月だけはあくまでも威風堂々と天高く聳えていた。 降り頻る白い雪を見ながら阿弥は呟いた。 「雪かぁ、綺麗だな、あたいはこんな性格だが夏よりも冬の方が好きだな~、このまま大雪に覆われて地上は無くなってしまえばいいのに.......」 一見弱音を吐いたようにも思える彼女のこの発言も実はそうではなく、寧ろ地上を真っ白に浄化したいという彼女なりの率直な思惑から来たものであっ…

  • 今週のお題 ~単なる好きな曲

    今週のお題「わたしのプレイリスト」 五月晴れ 夏を想わす 暑さかな(笑) いやいや、暑いですね~。例年の如く春と秋は短いですね。この調子で行くと6月上旬には30℃を超えてしまいそうな感じもするのですが、天の時には勝てませんと 😢 という事で(どういう事やねん!?)久しぶりにお題に挑戦してみたいと思います。ま~プレイリストといっても自分の場合は80年代~90年代の音楽をメインで聴いていますので最近の曲は殆ど知りません(笑) 最後に聴いた一番新しい曲でも約10年前のAKBの「フライングゲット」ぐらいですかね。ですのでノスタルジックなプレイリストという感じになると思います。 基本的には長渕ファンで、…

  • まほろばの月 十六章

    裕司の死に依って昭然たるものとなった輝夜一家と友仁会との抗争はもはや避けられない。本職のヤクザと揉める事は一家の掟に反する訳だが、切迫する事態は一向に彼等に安らぎを与える事はなく、更なる奇策が求められた。当然まともにやり合ったのでは勝ち目は無い。だがなかなか名案は出で来ない。皆が思いあぐねている中、新たに頭(かしら)に就任した清吾が口を切り出すのであった。 「親分、自分達はあくまでも盗賊です、盗賊のシノギは盗みです、友仁会の金子(きんす)を分捕るしかないですよ、椎名の事は自分も許せません、頭の仇は取りたいです、でも今は取り合えず金を奪う事に尽きると思います、そうすれば奴等の動きも鈍って来る筈で…

  • まほろばの月 十五章

    「清吾、港に行け」 「へい、分かりました」 真っすぐ隠れ家に帰ったのでは他の子分達に動揺を来たすと憂慮した阿弥には、港で裕司を始末する腹積もりが既に出来ていたのだった。清吾も波子も阿弥の気持ちは察していた。しかし阿弥の只事ならぬ真剣な眼差しに戦慄する二人は、車中では一言も口を開かずに息を飲んで佇んでいた。 ただでさえ寒い冬の夜、吹き荒れる海風を遮るものが何も無い港は底冷えする寒さだ。そんな中でも冴え冴えしく映える月だけは未だその美しさを保ったまま、一行の足元を照らし続けていてくれる。車外に投げ出しされた裕司に一発蹴りを入れてから阿弥は言った。 「もう酔いも醒めただろ、でもお前の目にはあの月も歪…

  • まほろばの月 十四章

    冬の日の短さは実に好都合だった。闇夜にあってこそ真価が発揮出来る彼等は自分のゾーンに入ったと言わんばかりに、今までとは打って変わって勇ましく動き出した。 今夜中に白黒はっきり着ける。この心意気は自ずと三人の共通の目的となっていた。その中でも清吾は少し目をギラつかせ、得意気になって口を切り出す。 「親分、あいつ(裕司)の居場所はあそこしかないですよ」 「何処だ?」 「友仁会ですよ」 「友仁会と言えば」 「そうです、あの友仁会ですよ」 広域暴力団の指定を受け全国でもトップクラスの極道組織、山友会の若頭、椎名誠二率いる友仁会は本家山友会の直参組織(二次団体)にして山友会内でも名実共にナンバー2の地位…

  • マネーの鳥 「生活費」

    司会Y「その男は、嘗て華々しく事業を展開し、数億円の年商を上げていました、 その頃の彼ならば間違いなく鳥側の席に坐っていたでしょう、 そんな彼が何故このような場に出て来たのでしょうか? そして一体鳥達 に何を訴えようと言うのでしょうか?」 生活費 司会Y「どうぞ」 志願者「失礼します、加根名木(かねなき)正義、45歳です、宜しくお願いします」 司会Y「いくらを希望致しますか?」 加根名木「3万円です」 司会Y「その使い道は?」 加根名木「当面の生活費と、自分が再起する為の最低限の必要経費です」 鳥達は全員揃って呆然とした面持ちで佇んでいる 😧 🤨 😓 😔 鳥K2「その当面の生活費と、再起する為…

  • まほろばの月 十三章

    一家では足が付く事を怖れ、探索する時は車は一切使わない。その事は今回のような不測の事態には幸いであった。阿弥は清吾と連携して裕司と波子の跡を追った。彼等が行くであろう場所はだいたい察しが付く。いくら冬とえども厚着で街を走り回ると汗をかく。その汗は阿弥にとっては償いの汗にも思える。 自分とした事が何故、こんな下手を打ってしまったんだ、確かに裏切者は裕司に違いない、だが忠実な波子は所詮女だ。彼女にもしもの事があったらあの世にいる英二にも顔向け出来ないどころか、親分失格である。阿弥はひたすら街を駆けた。 もう3kmは走っただろうか、何時まで経っても波子の姿は見えない。一体何処に行ったのだろうか、既に…

  • マネーの鳥 「くそ旨食堂」

    司会Y「その男は何が何でもくそ旨いものをお客様に提供したい、腕には絶対の自信が あると豪語します、彼がそう言い切る根拠は何処ににあるのでしょうか、鳥達 を肯かせる事は出来るのでしょうか」 くそ旨食堂 司会Y「どうぞ」 志願者「失礼します、九宗馬男、41歳です、宜しくお願いします」🙂 司会Y「いくら希望しますか?」 九宗「850万円を希望します」 司会Y「その使い道は?」 九宗「全てがくそ旨、大衆食堂の開店資金です」 鳥達は各々顔を歪めながら志願者を見つめる 😦 🤨 😕 鳥S「その、全てがくそ旨食堂というのはどういう食堂ですか? 具体的に教えて 貰っていいですか?」 九宗「はい、そのままなんです…

  • まほろばの月 十二章

    絵に描いた餅、水に映る月。真実を掴もうとする事自体が所詮は無理な話かもしれない。波子への疑いが完全に晴れた訳ではないが、今宵の綺麗な月に依って心が洗われた阿弥はこれ以上の詮索は無駄だと思い、名古屋の子分達を全員連れて東京に帰った。 もし裏切者がいるとしても一緒に居れば何れは分かるだろうといった、阿弥にしては少し打算的な思案だった。それよりも清吾の身の上が気に掛かる。一行は仕事を終えた翌日の昼前に東京へ向かった。 だが油断は大敵である。阿弥は新幹線の中でも警戒を怠らない。その鋭い眼光は一家全員に向けられ、彼女の威を怖れる子分達は一言も喋ろうとしない。その只ならぬ雰囲気を察した名古屋支部の支部長で…

  • 有無の日 ~天神の日

    五月晴れ 久しく映る 山並みよ(笑) いやいや、鬱陶しい天気が続く中、久しぶりに晴れ間が差したような気もしますが、それはそれで陽射しが眩しいと(笑) マスクを着けてその上サングラスまで掛けて外を歩くのは不審者に見られるのではないかと懸念してしまいます(笑) という事で(どういう事やねん!)、最近怠っていた記念日特集ですね。こっちも疎かにしてはいけません。今日も色んな記念、行事があるみたいです。そこで自分が気になった事を幾つか挙げて行きたいと思います。 有無の日 平安時代中期の第62代天皇・村上天皇(926年(延長4年)~967年(康保4年))の命日。 村上天皇は、急な事件のほかは政治を行わなか…

  • まほろばの月 十一章

    清吾が齎した急報は阿弥を震撼させたが名古屋の仕事を疎かにする訳には行かない。当初は余裕を持ってする筈だった仕事を急行する事にした。既に準備万端整えていたお陰で慌てる必要が無かった事は幸いであった。 だが頭(かしら)の仇討ちと言わんばかりに、血気に逸った子分達の様子を憂慮した阿弥は改めて忠告を施す。 「お前ら、落ち着け! いいか、一家の掟を忘れるんじゃねー、あくまでも冷静沈着に事に当たらなければ絶対に下手打つんだよ、酷な言い方だけど頭もそれで死んじまったんだ、あいつはその事を身を持って教えてくれたんだよ、お前らの想いは想いとして嬉しい、だが仕事は別だ、感情的になったら負けなんだよ、分かるな!」 …

  • まほろばの月 十章

    阿弥が正月を名古屋で迎えたのには一応の理由があった。一つは一刻も早く名古屋入りし仕事に専念したいという気持ちと、もう一つは東京に居れば何時まで経っても英二の事が忘れられない、その未練をいち早く払拭したいという彼女なりの切実な願いであった。 無論英二の事を忘れられる訳など無いし忘れたくも無い。だが、まだ志半ばな状態でその事を引きずって行く事は、これから一大決戦に挑もうとしている阿弥にとっては余りにも危険だからである。その為にも名古屋では是が非でも下手を打つ事は出来ない。阿弥は十二分に策を練り、東京では英二が清吾を密偵に使っていたように名古屋では既に波子に隠密行動を執らせていたのだった。 熱田神宮…

  • まほろばの月 九章

    人は死んだら星になると言われているが、英二の存在は星のような小さいものとは思えない。寧ろ満月のようなその大きい一家の大黒柱であった彼の力は惜しみてもあまりある。一同は暫くの間喪に服していた。 本名春藤英二、彼がヤクザから足を洗い一家に身を預けるに至った経緯は今更語るまでもないと思う。何故なら彼のその壮絶な死が全てを物語っているからだ。金金金の世の中というのは極道社会では尚更酷く、時として盃を交わした親分、兄弟分まで平気で手に掛ける。現代に任侠道など存在しない。そんな渡世に嫌気が差し、阿弥の心意気に惹かれた英二は一家に入った訳だが、志半ばで世を去った彼の心境は如何ばかりであったろうか。 阿弥は言…

  • マネーの鳥 「真・生活代行サービス」

    司会Y「その男は、とにかく怠け者で何もしたくない、という己の欠点を逆手に取った逆転の発想から或るビジネスを思い付いたと言います、そんな怠け者にビジネスなど出来る筈が無い、という考え方は浅はかなのでしょうか? 自信漲るその表情には私も何か惹かれるものがあります、男は鳥達に何を訴えようと言うのでしょうか?」 真・生活代行サービス 志願者「失礼します、一生寝太郎、27歳です」🙂 司会Y「寝太郎さん、いくら希望しますか?」 寝太郎「3852万9325円です」 司会Y「その使い道は?」 寝太郎「真・生活代行サービスの開業資金です」😉 鳥達は何時になく興味津々な表情で志願者の顔を眺めているが、鋭い眼差しな…

  • まほろばの月 八章

    時は来た。この1ヶ月余りで綿密に練り上げた策と清吾から得た情報を元に輝夜一家は動き出す。阿弥が下知を下す。 「行くぞ!」 その美しくも勇ましい一声に勢いづいた一行は疾風の如く素早い動きで出発し、霧のように姿を消したと思うと一瞬にして現場に到着していた。 深夜2時過ぎ、まず一軒目の事務所はいとも容易くその扉を開けられ中にあった金庫は丸ごと奪われ車に蔵(しま)い込まれる。この事務所はヤミ金業者の一支店に過ぎず、他には目ぼしい物も置いていない。こんな調子で3つの支店の金庫を難なく奪い逃走する一家。阿弥は取り合えず一息ついていた。 暮れも押し迫った12月27日、御用納めの前日に決行したいという阿弥の想…

  • マネーの鳥 「どこでもドア」

    司会 Y「その男は、幼少の頃からドラえもんが好きで好きで仕方なかったと言います、 そして、成れるものならドラえもんに成りたいとさえ思っています、この世間 の一般常識から乖離したような考え方は稚拙で愚かなのでしょうか? それで も男は夢を捨てる事は出来ないと言い放ちます」 どこでもドア 志願者「何処でも行太郎、33歳です、宜しくお願いします」 司会Y「いくらを希望しますか?」 志願者「30億円です」 司会Y「その使い道は?」 志願者「どこでもドアの製造費です」 鳥達は怪訝そうな表情を泛べ志願者の顔を凝視する 🤨 😕 😦 だが志願者はあくまでも毅然とした態度を崩さない 🙂 鳥N「その~どこでもドア…

  • マネーの鳥 「立候補」

    司会Y「その男は嘗てぇ、一瞬だけ芸能界に身を置いていた事があります。ですが余りにも短い期間だったので覚えている方は殆どいないと言っても良いでしょう。でもどうしても日の目を浴びたい、という想いから無謀にも大胆な発想を思い付きました。今宵彼はどんな事を鳥達に訴えるのでしょうか」 立候補 志願者「初めまして、甲斐革雄(かいかくお)です、宜しくお願いします」 司会Y「いくら希望しますか?」 甲斐「10億円を希望致します」 司会Y「そのお金の使い道は?」 甲斐「次の衆議院選挙に立候補する為の供託金とその他諸々の政治資金です」 志願者は全く物怖じする様子もなく、あくまでも毅然とした態度で真っすぐ前を向き椅…

  • マネーの獅子 ギャンブラー

    晩春の 風情空しく 梅雨入りか(笑) 皆さんおはようございますヾ(^∇^)♪ しかし鬱陶しい天気が続きますね。この前まで菜種梅雨と言われていたのに今度は真の梅雨入りと、まだ5月中旬なのに早過ぎますよね。これも異常気象の影響なのでしょうか、とすれば「花鳥風月」は感じられませんんね~、淋しい限りです 😢 そんな中、自分は最近マネーの虎に嵌っています。あのテレビ番組は本当に面白かったですね。何が一番面白かったかと言えばやはり虎達の表情ですね。志願者が出て来て抱負を語った後の虎達の何とも言えない複雑で神妙な面持ち。自分はここで爆笑していました(笑) 役者ですよね、成功した人は顔つきにも何か真実味が窺え…

  • まほろばの月 七章

    冬空に輝く月は殊更冷たく感じる。余り深く考えずに表の仕事に勤しんでいた波子ではあったがやはり一家や清吾の近況は気に掛かる。清吾と違い彼女の下には何の連絡も入って来ない。何れ謹慎は解ける訳だが淋しい気持ちは簡単には誤魔化せない。波子はただただ謹慎が解けまた訪れるであろう阿弥や清吾との再会に希みを託すのであった。 一方清吾は隠密裏にもまだまだ精力的に諜報活動に精を出す。美子から訊いた話では被害者の数は計り知れず、奴等が囲っている女性も元々はヤミ金被害者でその傍若無人な振る舞いは目に余る。 そんな中、美子が紹介してくれた真由美という女性があっさりと清吾に協力してくれた。彼女は家庭があるにも関わらずヤ…

  • まほろばの月 六章

    一家で数々の策が講じられていた頃、清吾は頭に言われたように陰から尽力するよう隠密行動を開始する。彼が真っ先に目を付けたのは言うまでもなくヤミ金被害者の女性であった。 彼女達はただ遊ぶ金欲しさにヤミ金に手を出してしまった者もいれば、生活が困窮し止む負えず借りざるを得なかった者もいる。清吾が的に絞ったのは当然後者でその実情を探るべく彼女達の生活を監視し出した。 世間は狭いものでヤミ金被害者は意外にも清吾の周囲に存在していた。彼が表の仕事仲間とたまに飲みに行くバーのホステスは前々から目を付けていた女性であった。彼女曰く、 「私はシングルマザーだから人一倍働かないと子供を育てて行けないのよ」 と何度も…

  • 青春七五三 ~いちごの日

    皆さんおはようございますヾ(^∇^)♪ いやいや、最近ブログ執筆を疎かにしてしまい応援して下さっている方々には本当に忝く、汗顔の至りです 😅 やはりブログは大切ですね。ブログ作成をサボった日は自分自身の誓を破っただけではなく、天を欺いた気持ちになり調子も出ませんね。改めてブログの力を感じたような気がします(笑) という事で(どういう事やねん!?)今日は久しぶりに2記事作成したいと思います。まずは恒例の記念日特集ですね^^ 青春七五三 一般社団法人・日本記念日協会が1995年(平成7年)に制定。 幼い子どもの成長を祝う「七五三」から10年過ぎた13歳、15歳、17歳の青春真っ盛りの少年少女に、こ…

  • まほろばの月 五章

    世に蔓延る半端な悪は法の目を掻い潜り私服を肥し未だにのうのうと生きている。何時の時代もその犠牲になるのは弱者である。それは世論は言うに及ばず輝夜一家にとっても由々しき事態であった。 阿弥は何時も思っていた。自分達がしている事は決して底の浅い短絡的な正義感から来る世直し隊などでは無い、ただ純粋に半端な輩が嫌いなだけである。言い方を変えると真の悪は寧ろ阿弥にも好印象を齎してくれる。しかし悲しいかな今の時代には真の善悪などは存在しないようにも思える。ならばこそ自分達が真の悪になってやろうではないか。窃盗をシノギとしている阿弥はあくまでも己が生業を悪と割り切っていたのだった。 阿弥は次の的を決めた。悪…

  • まほろばの月 四章

    疾風迅雷。阿弥率いる輝夜一家はその後も大阪、広島、福岡そして宮城と、この四場の仕事を計画通り一気に成功させ東京に帰って来た。今回の成果は総額8000万円と実に上々の出来であった。既に隠れ家には宴席が設けられ一行は旅の疲れを癒やすべく豪勢な料理を召し上がり酒を飲みながら互いの苦労を労う。東京で留守を守っていた頭の英二が音頭を執る。 「親分、ご苦労様です、何時もながらの見事な仕事っぷり流石で御座います、みんなもご苦労だった、今宵は大いに飲んで食べて語らってくれ」 「へい!」 「頭、留守居役ご苦労だったな」 「有り難う御座います、ところで清吾の顔が見えないようですけど」 「あいつは破門にした」 「そ…

  • まほろばの月 三章

    清吾の憂慮も他所に時間は刻々と進み、冴え冴えとした月に見守られながら一行は出発した。 車の中でも清吾と波子は一切口を利かずにただ仕事の段取りだけを考えている。そうする事でしか気持ちを紛らわす事は出来ない。阿弥はあくまでも悠然と構えている。その姿はまるで不動明王のような佇まいで一行の気を安んじてくれる。清吾はいくら親分であるとはいえ、女である阿弥と己が器の違いに愁嘆していた。 目的地に着いた一行は東京の時と同じようにして店の前で監視し頃合いを見て襲撃する。息を殺すようにして物音一つ立てずに押し入る一味。この忍者のような華麗にも俊敏で一糸乱れぬその技は彼等の鍛え抜かれた身体、研ぎ澄まされた神経、そ…

  • まほろばの月 二章

    繋ぎ役を任された清吾は各地に散らばる一党に連絡を入れ段取りを告げる。親分の阿弥が率いる東京を皮切りに名古屋、大阪、広島、福岡、宮城といった順番で仕事に着手する。無論地方には阿弥自らが出向く。それまでに入念な、いや完璧な下調べをしておく事を指示する清吾。 名古屋支部で働く波子は仕事の趣旨、つまり阿弥の意向を素早く汲み取り今回の仕事には実にハリキっていた。気が逸って仕方がない、彼女は何時も以上の素早い動きで店の内情に探りを入れ皆と共に計画を練り上げる。後は親分の到来を待つばかり、しかし久しぶりに仕事を同じくする清吾の事は心配でならなかった。 阿弥が提起したから丁度十日、全ての段取りが決まった。的に…

  • まほろばの月灯り 一章

    日中燦然と照り輝く太陽に対し夜に冴え冴えしく映える月灯り。太陽の陽射しが力強さの象徴とするならば、月灯りは万物を優しく癒してくれる美の象徴にも思える。そういう意味では太陽は男で月は女と言っても過言ではない気さえする。 彼等が仕事に赴く時間帯は専ら夜であった。現代の鼠小僧を気取るこの盗賊は名を輝夜一家と称し女親分である十六夜(いざよい)の阿弥を始め、頭(かしら)の夜桜英二、子分の直、竜太、清吾、他から成る構成員と全国各地に散らばる一党を含めれば約100人規模の反社会勢力を築いていた。 この盗賊のスローガンは当然強気を挫き弱気を助ける、そして生殺与奪が御法度なばかりか犯さず傷つけず、本職の極道とも…

  • ヨーロッパ戦勝記念日 ~薬師縁日

    薄曇り 舞う鯉のぼり 何想う(笑) いよいよ今日明日でGWも完全に終焉ですか~。つい十日程前に「GWの心得」なる記事を綴ったのが懐かしいぐらいですけど。本当に月日の経つのが早過ぎます。年老いた証拠ですかね。 ま~自分は子供の頃からこんな事ばかり言っていましたけど。生来ナマクラであったというか日常(平日)が嫌いというか、とにかく過ぎた事ばかりに目を当ててしまう癖があります。要はメンタルが弱いのでしょうね、情けない話です 😢 鯉のぼりのようにもっと元気に勇ましく生きて行かねばなりませんね。 という事で(どういう事やねん!?)、今日5月8日の記念、行事などについて書いて行きたいと思います。 ヨーロッ…

  • 早熟の翳 最終話

    人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。とは言うもののこの時の誠也の足取りは余りにも重い。彼等との訣別、自分自身の人生観、色んな想いが錯綜する。ついさっき腹を割って話をする気になっていた筈がいざ足を踏み出すと身体が思うように進んではくれない。こういう心境はいくらヤンキーの王道を歩んで来た誠也にも少し躊躇いを投げかけて来る。 彼のそんな鬱蒼とした想いすら笑い飛ばすかのように桜は未だ散り行く姿を見せず、その行く手を燦然と照らしてくれる。誠也は公園のベンチに腰を下ろし一服して気持ちを静めていた。 鳥の囀り彼の心を癒やし春の柔らかいそよ風は辺りを和やかにしてくれる。一片の桜の葉が誠也の頬に華麗に舞い…

  • 早熟の翳 二十七話

    誠也は以前と同様に林田先生に同行し仕事のアシスタントを担う。この日裁判所で公判が行われた後、先生は初めて誠也を飲みに誘った。その店は嘗て先生が世話をした元ヤクザの構成員が出所したから更正し夫婦で経営している居酒屋であった。 暖簾を潜り扉を開けると愛想の良い声が二人を迎えてくれる。 「いらっしゃいませ、あら、先生じゃないですか! お久しぶりです、さあどうぞ」 「相変わらず元気でやってるみたいだね、安心したよ」 そう言って椅子に掛けた先生には好物の焼酎が運ばれる。誠也はそれに合わせ同じ焼酎を頼んだ。誠也も挨拶を済ませ二人は思い出話などに花をが咲かせる。誠也が見る限りでは確かにアウトローをかじってい…

  • 上級国民って何? ~感情の必要性

    この件については触れるべきか否か大いに迷いましたが、やはり触れない訳には行きませんね。寧ろ触れる必要があるようにも思われるのですが。 先日公判が行われた池袋暴走事故。飯塚被告は相変わらず眠たい事ばかり抜かしていたみたいですけど、この人は言うに及ばずこういう事件、事故が後を絶たない現代社会を憂慮せずにはいられません。本当にやり切れませんね........。 上級国民って何? news.nifty.com 上級国民(じょうきゅうこくみん)とは、一般国民とは違う上級の国民を表す、ネット上などで用いられている俗語(インターネットスラング)である。2015年および2019年に、新語・流行語大賞の候補にな…

  • 早熟の翳 二十六話

    久さんの言説に従いヤクザの顧問弁護士を辞めた誠也は路頭に迷っていた。それにしても久さんとの別れは余りにも儚く感じられて仕方ない。この数年間は一体何だったのだろう。永久(とわ)の別れになってしまったのだろうか、そんな筈はない、彼は近い内に復活してまた自分を呼び戻してくれる。誠也はそんな淡い夢を観ながら一時放心状態の日々が続いていた。 だが何時までもまり子の世話になる訳にも行かず次なる就職先を探し出す。まだ経験の浅い誠也は個人で法律事務所を立ち上げる手腕も信用も金も無い。しかし何処を見てもパっとした事務所は見当たらない。職探しに翻弄していると以前お世話になっていた林田先生の事が気に掛かった。 あの…

  • 5月5日 レゴの日 ~熱中症対策の日

    鯉のぼり 雨にも負けぬ 志(笑) 今日5月5日は立夏にして子こどもの日、端午の節句などの色んな記念、行事が関連付けられていますが、今年の春は例年になく雨が多いように思えます。でも雨が結構好きな自分としては少し嬉しい気持ちさえ芽生えて来ます。 そんな変わり者の自分が少し気になった本日の記念、行事について語って行きたいと思います。 レゴの日 デンマークのブロック玩具「レゴ(LEGO)」を販売するレゴジャパン株式会社が2002年(平成14年)に制定。 日付は「レ(0)ゴ(5)」と読む語呂合わせと、「こどもの日」であることにちなんだもの。また、2002年はデンマークでレゴ社が設立されてから70周年、日…

  • 早熟の翳 二十五話

    花鳥風月。満開に咲き誇る桜は実に美しく、人々の心を晴れやかにしてくれる。 月日は流れ久さんは次代の若頭が有力視され、誠也は弁護士でありながら事実上は安藤組のナンバー2の貫目を漂わす。あの事件から何年が経ったのだろう、今では清政や健太の情報など何も耳に入って来ない。 だがもう自分から手を差し伸べる事も出来ない。この間(かん)まり子と同棲し出した誠也はあの二人の事をなるべく考えないように勤めていたのだった。 同棲しているとはいえ看護師であるまり子とは擦れ違いの生活が多い。しかし優しいまり子は夜勤の時ですら何時も誠也の食事の世話だけは欠かした事がなかった。 今朝の献立は春に因んだ桜ごはんであった。薄…

  • 早熟の翳 二十四話

    ようやく厳しい暑さも弱まり、本来ならば人々が小躍りするような秋の到来も彼等にとっては一触即発、油断の出来ない様相を呈して来た。久さんは若い衆に松下組のシマでシャブを捌いている奴等を悉く捕まえろという指示を出す。しかし気になるのは未だに処分を決めない親分と頭の悠長な様子だった。 組員達は勇み立ち売り子をしていたチンピラどもに片っ端からヤキを入れる。久さんは再度親分と頭に掛け合い松下の除名を願い出る。しかし二人の言い分はあくまでも功労者であり今でもシノギの良い松下を破門にはしたくないという実に半端な考え方だった。そんな二人に久さんは噛みつく。 「意見して悪いですが、それで筋が通るんですかね? ここ…

  • 早熟の翳 二十三話

    折しも強さを増した雨音は小さな居酒屋の屋根を容赦なく打ち続け、四人の心にまで浸透して来るような勢いだ。親っさんの心遣いで仕切り直す事が出来た誠也は煙草に火を着けた後、いよいよ本題に入る。三人は息を飲むようにして誠也の発言に耳を傾ける。健太は今にも失神して倒れそうなぐらいその顔色は青ざめていた。 「で、清政よ、お前これからどうすんだよ、ほんとに久さんに世話になるつもりなのか?」 「いや、それは、一応布石を打っただけの話だよ」 「やっぱりそうか、お前も変わったな、昔のお前はそんなヘタレでは無かったろ、俺はこの場で兄弟の契りを解消させたいぐらいだよ」 修二が咄嗟に口を開く 「誠也、それは言い過ぎだろ…

  • 早熟の翳 二十二話

    「あ~ら久しぶり、御機嫌よう」 まり子は相変わらずの陽気な面持ちで貴族みたいな口調で語り掛けて来た。 「何だよお前、何かいい事でもあったのか? えらく陽気そうだな」 「今貴方と会ってる事が一番嬉しいのよ、一々言わせないでよ」 「ありがとう」 「貴方もちょっとは嬉しそうな顔しなさいよ、いくら弁護士になったからってそんな陰気な顔は貴方には似合わないわよ」 「そうだな・・・・・・。」 ヤンキーの王道を歩んで来れたのが誠也の天性であるとすれば、まり子の天真爛漫さも天賦の才のような気もする。だがこれまで誠也がまり子の落ち込んでいる所を見た事がない点を踏まえればその才能はまり子の方が1枚上なのかもしれない…

  • 5月の始まり 語彙の日 ~釜めしの日

    皐月空 優雅に泳ぐ 鯉のぼり(笑) いよいよ5月ですか。正月が過ぎ、寒い冬が過ぎ、この前3月桃の節句と思っていたら既に桜も散り4月も終わって早や5月と。本当に月日の経つ早さは怖いぐらいですが。 毎日何かの記念が関連付けられていますが、今日5月1日は調べた所でも 八十八夜 「令和」改元の日 メーデー 日本赤十字社創立記念日 扇の日 スズランの日 水俣病啓発の日 語彙の日 カリフォルニア・レーズンデー 宅配ボックスの日 恋がはじまる日 鯉の日 コインの日 自転車ヘルメットの日 恋の予感の日 本仕込の日 緑茶の日 新茶の日 資格チャレンジの日 釜飯の日 あずきの日 省エネルギーの日 と実に多種多彩で…

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