死後の世界はあーるの巻(第25話)
「これ、なんだか分かる?」 アンヘルが地面から何やら黒い色のついたガラスの破片のようなものを拾った。 プラスチックのかけらのようにも見えたのは、光線の加減か少し紫がかっていたからかもしれない。 「もしかして、黒曜石かい」 「正解。今日しんじはついてる。持って帰りな」 いや、そんな出土品をねこばばなんて、めっそうもない。マヤ文明ではナイフや矢じりに使われていたとされる貴重な石だ。 「心配しなくていいよ。もうこのあたりの大切な出土品は全部発掘された後だから、残りは拾われなかったものってわけ」 そこまで有資格のガイドがいうのであれば、ありがたく頂だいすることにした。 手術用メスより鋭利に割れることも…
2025/02/26 10:39