会社員でも旅に出たいをテーマに、サラリーマンの吉川が、駐在するメキシコを中心に旅した記録をつづります。チアパス州の奥地にあるエバーグリーン牧場を舞台に繰り広げられる人や動物との出会いが第1作目です。
草原の真ん中まで来ると、サムエルは僕ら五人に車座になって座るように言った。いつの間にか目の前にやってきた犬をつかまえてなでている。そして太陽の光が植物を光合成させ、それを動物が食べて命が循環していくだとか、水の大切さについての説明を一通り聞いた。そして太陽を見ながら裸足になり、足を肩幅に開いて空気を思い切り肺に入れることをあえて参加者にさせる。 「馬に乗りに来ているんだから馬に乗せてよ」と文句を言う人はいない。たぶんここを訪れる旅行者は、こんな説明に精神的な満足を得るのだろう。実は僕もそのうちの1人だ。ライオンのように猛々しく広がったグレーの髪をしたサムエルがこの話をするとき、僕らはその静かで…
「ブログリーダー」を活用して、吉川 真司さんをフォローしませんか?