秋天拭うがごとし
「秋天拭うがごとし」とは、国木田独歩の名作『武蔵野』に描かれた秋の情景です。武蔵野の美を叙述するにあたって、独歩が自身の書いた日記を参照しているのですが、その中の一節となります。原文はもう少し長く、 「秋天拭うがごとし、木葉火のごとくかがやく」 (『武蔵野』国木田独歩 より引用) とあり、青く澄み渡った秋の空と炎のように赤く染まった木の葉とが目に浮かんでくるようです。 ちなみに、この日記が書かれた日付は9月21日。現在の感覚からすると空の青さは別として、紅葉の部分については少し違和感を覚えてしまいます。『武蔵野』が書かれたときにはすでに暦が新暦へと切り替わっており、独歩が旧暦で日記をつけたとは…
2022/09/29 16:35