夏街
ビニールバッグを抱えた少年少女、中央線の座席の上、ぶらつかせている細い足の長さもちょうど、ちょこんと上目遣い、並べた肩も細かった 向かいに立つ男が親と見える、彼は釣り道具を持っている、向かっているのは海と伺える、目的地は近場の千葉、いや、新幹線もありえる だんだん海が恋しくなってくる、自慢じゃないが泳ぎは達者、それだから夏はうれしいはずなのだ、しかしいまバッグのなかには謎の荷物 ばっくれたらにっちもさっちもいかなくなるだろう、なにが入っているのかどうにも察知できないでいる、釣り道具ではないはず、つれない荷物 新宿駅東口を屹然と出て、荷物をコインロッカーに入れたらさあOK、新
2024/03/29 17:00