私にふれる
あろうことか私は女の子にもかかわらず、二四歳の夏で失った。バージンを、ではない、性欲を、だ。 一八歳のときはお酒を飲むと(あるいは飲まされると)、性欲が噴火してベッドのなかは炎に包まれたものだ。実際、吸いなれていない煙草をベッドシーツに落としたまま快楽の余韻のなかで眠ってしまい、ホテルがボヤになったことがあるくらいだった。 二四歳の誕生日を迎えた二箇月後の八月のことだ。夜色の東京湾で友達の子と二人、釣りをしているときに海に向かって発作的に、私の性欲ないないどこいった! と叫ぶと、その子がたいそう私の気持ちを心配してくれたのだが私は、気持ちじゃなくてこの躰! と続けて叫んでさらに
2020/08/29 20:13