夜の色
超高層ホテルのベッドの横に、藍色の髪の女が寝ていたことに気がつくと、女は寝返りをこちらに打って、暗がりに白い肌をあらわにした。 「ギターを弾いてよ」 「お安いご用さ。さあ何か飲もう」 「ウイスキーね」 女が躰をよじり、ベッドの横のフリーザーから、ボトルが取り出された。ぼくも起き上がった。 麦色に輝く液体がそそがれる。女と一緒に杯を掲げた。 「乾杯」 照明の乏しいベッドの上、ぼくは五〇万円したエレキギターを抱いて目を閉じ、女に聴かせはじめた。音色に雑音が混ざりこんできた。ホテルのアンプが安物だからだろう、癪に障って杯をあおり、思わずむせる。 「ギタリストになったら、もっと高価な
2020/07/28 21:22