都合による詩誌に載せられなかった詩を掲載しています。全員が全員共感してくれるとは思いません。でも100人中、5~6人は共感してほしいな、という個人的希望を持っています。
染色体が一本少ない分俺には言葉を紡ぐ能力を与えられた俺の呟く言葉で多くの若人が千尋の崖から身を投げる中年女性が警官の前で服を脱ぐ世界中の音楽家が俺の言葉に音階を与えようと円形禿になるほど頭を掻きむしるだからお前の歓心を買うことなど俺にすれば朝飯前なのだ夕食後なのだしかしそんなことはしない俺の人生に介入するな俺に与えられた言葉は本来は煉獄で公開されるものだ烏が喚き鼠が齧り犬が交尾しても誰にも明かすこ...
志ん生は金明竹を演じている途中から火焔太鼓になったそうだ私も希望をうたっているつもりが終末と死をうたっていることがよくあるそれが私の癖なのかとNは歌ったが絶望を求めていないのに完全な孤独を語っている自分に気づき絶望することも屡々だ鳥よ どこへ飛んでゆく私を置き去りにして悪霊よ どこへ連れてゆく狭い産道を抜けて甘い甘い愛の詩は苦い苦い丸薬を飲まなければうたえないこのままサゲのない人生を後ろ向きに歩い...
中也はうたった愛するものが死んだ時には、自殺しなきゃあなりませんしかし僕は死なない死の平安には逃げない生の疣に刺されながら安宿のベッドで客死するまで生の裾に縋りつく愛する全てのモノを喪ってもそれまでどれだけの美しい日々を送ってもそのあとどれだけの醜悪な残骸が待ち受けていても一人であることに耐えながら潜水具を着けた深海で生の苛烈に耐え続ける仮に一人の理解者がいなくても仮に一人の支持者がいなくても僕は...
飲み下せない詩がひたひたと流通して分からなければ詩ではないという風潮がありそれはそれで美味いと思う人がいるのだから全く文句はないしかし私は飲みやすい糖衣錠を書きたいそしてするすると胃の中に入ると蝕肢を伸ばし肝臓に鼓動を打たせ脾臓にバナナを消化させ盲腸結腸にコレステロールを生成させるそのような糖衣錠を書きたいそれははいこれからクイズです Yesと思う人はこの選から右側 Noの人は左側に集まってくださいと...
こんな剃刀で割いた感情が湧くのは寝てないからじゃない起きていられないからだ世界の全てが詐欺師の蝗に満ちていて私自身は蟋蟀の一族だが詩はローマの便所の女陰の落書きより劣っていて立ち姿は老いさらばえた赤子で吐く息は屠殺された雌牛の腐臭だこの先誰かこんな私を愛してくれるだろうか発情期の豚以外にしかし満腹時服用と処方された抗不安剤を空腹時に飲んでも一縷の過去が吐き出す絹糸は掴んでいたい断崖の花が漂わす片輪...
取税人から届く絵手紙には風鈴が首を吊っており死んでくれてありがとうと達筆だそれを見てまた年金が下りたと知り黄砂も骨粉も降らない日を狙ってカタール紙幣に換えに行く新しい甲羅を着けていきたいが改札を通れるか確証がないその後で銀鱗入りの珈琲が美味い片目の潰れたマスターの店で友人と待ち合わせているでも今日はそこまで辿り付けないかも知れない九月の黄色い犬が街を駆けそろそろ父も召集から還るが仏壇の観音開きには...
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