原題は「WE BEGIN AT THE END(終わりより始まる)」。三十年の刑期を終えた幼馴染ヴィンセントが町に戻ってきたことにより、新たな事件が…という話。ミステリーというより過去を清算するために残された時間であがく男と、復讐心に駆られた少女の成長を描く人間ドラマ的な面
原題は「WE BEGIN AT THE END(終わりより始まる)」。三十年の刑期を終えた幼馴染ヴィンセントが町に戻ってきたことにより、新たな事件が…という話。ミステリーというより過去を清算するために残された時間であがく男と、復讐心に駆られた少女の成長を描く人間ドラマ的な面
児童養護施設を舞台にした(非)日常ミステリ短編連作。人が死ぬ物騒なミステリばかり読んでるとちょっと荒む、でも「ココアをどうやって淹れたか」みたいな日常過ぎるミステリは謎に興味を持てなくてつまらない…という時にちょうどいい塩梅の作品だと思う。子どもたちはだ
タイトル通り殺人鬼フジコが幼少期からいかに歪み、殺人に至っていったかを描いた話。元々スタート地点がいじめ&虐待、一家皆殺し事件の生き残りというどん底ではあるものの、ものの見事にキレーに転落していくさまは「嫌われ松子」を思い出した。藤子は松子ほどスペック高
ルッキズム、醜形恐怖症など、他人には分かってもらいにくい生きづらさを抱える若者たちが、それぞれの問題を乗り越えるために過去の事件を洗い直す…という話。過去の事件をメインで描きつつ、作中作に隠された謎も同時にチラつかせて読ませていく構成で、先が気になってど
少女が失踪し、その彼氏が「自分がやった」と遺書を書いて自殺して終わったとされていた事件を、JKが自由研究の題材として調べ直す話。徐々に明らかになっていく被害者の裏の顔、真相に近づく主人公の口を封じようとする謎の脅迫者、そして意外な真犯人と対決…と、流れはか
乙一の別名義のやつ。道迷いというか知らん間にどこかに瞬間移動してしまう不思議体質の旅作家とその連れが、行く先々で不思議な村や事件に迷いこみ…という連作短編集。時代ははっきりとは書かれてないけどたぶん江戸時代くらい。人々の文化水準はそのくらいだけど言葉は時
クローズドサークル×ゾンビもの…?というのか?トンデモ設定な世界観をベースにミステリーというのがこの人の作風だけど、今回は輪をかけて好き放題やってるような気がする。個人的にはアリだと思うけどちょっと反則みも感じる微妙なライン。この人の話だからヒロインが死
ある一日を一定期間突然ループしてしまうという特異体質の主人公。遺産相続で揉めてる祖父が死ぬ日にその体質が発動してしまい…という話。設定的には祖父を救うため(+身内から犯罪者を出さないため)に何度もトライ&エラーで試行錯誤を繰り返し、その過程で新しい情報を
殺戮する民と殺戮から逃げる民。絶望から生まれた魔物が国を滅びに導くのを止める話。被差別民のタゼーレン視点はなかなか理不尽で酷い目に遭い続けるんだけど、温かい人間関係とたまにある弓での反撃のおかげでそこまでイライラすることなく楽しめた。終盤以外は。タゼーレ
一つの体を共有する双子の少し不思議な話。あらすじにも目次にも「とにかく双子は没落する!」と書かれていて実際見事な没落ぶりだったが、貴族なのに(貴族だから?)どこか飄々として、酒飲んで逃避してる姿ばかり描かれているからかそこまで悲壮感はなかった。なんかこう
ドラマ「ゲームオブスローン」の原作。とりあえず上巻まで読んだ。話の内容はドラマで見て知ってるから改めて原作読まなくてもいいかな、と思ってたけど…ドラマの最終章だけは納得できなくて…!!聞くところによるとゲームオブスローンは原作に忠実なものの途中で話が追い
死刑を逃れるために毒見師となって最高司令官に仕えることになった少女の話。無性にファンタジー読みたい欲がまだまだ収まらず色々調べてるうちに見つけた作品。ファンタジーなのはそうだけどなんか海外のラノベっぽさがあるというか少女小説っぽかった。最後は毒見どころじ
持ってるだけで人格を疑われそうなタイトルだけど中身もちゃんと頭がおかしい。グロテスクというより下品だし汚いしうんこちんちんゲロおしっこばっかでふざけてるとしか思えない文章だけど、話の筋はちゃんと面白いのがなんか腹立たしくてうける。本格推理小説作家の頭脳に
ひそかにライバル視していた同期が公安に移動後、懲戒免職からの行方不明に。納得できない主人公は上層部に不信を抱き、同期を救うために動き出す…という話。真面目で上昇志向もそれなりにあり、上司の言うことはよく聞く優等生。という、社会人としては優秀だけど刑事とし
何度も実写化されてる超有名作だけど意外と観たことなかった。最近貸金庫十億円横領したのが女性だったってことで二重に話題になってたけど、この話でも「銀行の横領は女性が多い」「銀行も客も警察の介入を嫌がるのでなかなか表沙汰にならない」というようなことが書かれて
虫系ミステリ短編集。気楽に読めるおやつ枠。虫系と言っても細かく虫の描写したり虫がトリックに使われるタイプの話ではなく、虫に関するエピソードトークをちょっと交えるくらいなので虫苦手でも全然平気。探偵役で虫オタクのエリサワもさかなクンさんみたいな感じの嫌味の
あらすじとしては杉森くんを殺して少年院に入る前に、やりたかったことをやりつつ杉森くんとの過去を振り返る女子高生の話。なんだけど実態はあけすけに言えば、いじめや家庭環境に問題を抱えてメンヘラ化した本人ではなく、そんなメンヘラに依存されて自分も病んじゃった人
死ぬと近くにいた別の体に精神が乗り移る…という特殊な血筋の3きょうだいが同時期に死んでしまい、てんやわんやする話。あらすじを知らずに読んだんだけど、冒頭からしばらくは入れ替わったことを明言せずに進むもんだから読みにくくて仕方なかった。主人公(視点主)は
「理想の家族」を守るためにタイムリープするがその度に「成功した方」と「失敗した方」で人格と世界が分裂していく…という話。あらゆる平行世界が存在する的な話はよくあるけど、主人公の人格まで分かれて脳内ライアーゲーム大会というのが普通のタイムリープものとは一線
短編集。表題作はレトロだけどそれ以外はSF。・夜の記憶海の描写がすごかったけど主人公のお魚(?)形態がどういう形なのかいまいち想像できなかった。でも人間パートの「人類が地球から追放される」みたいな話は怖面白かった。・呪文SF×オカルトでこの本で一番好きかも。
今回も独特な舞台設定が面白かった。…が、現代とさほど変わらない時代での食人行為はやっぱリアリティに欠ける部分があり、気を抜くと「そうはならんやろ」となってしまうので意識的に深く考えないようにする必要はあった。人間極限まで追い詰められると道徳も倫理観もなげ
世界中の本の模造品が木から生えてくる魔法の島が、一夜にして滅んだ。生き残った子供たちの成長と復讐の物語。これもシリーズ後の方の作品なので付いていけるか不安だったけど、世界観が共通してるってくらいでだいたい大丈夫だった。最後の一行でオオッ!となりつつも一巻
借金取り兼曲芸師の少女と、借金の担保にされた没落華族の令嬢が、隠された財宝を求めて冒険する話。時代背景とか一部脇役はいつもの井口くん&蓮見シリーズと共通してたけど今回この二人は出なかった。最初はちょっと残念だな~と思ってたけど、少女二人の宝探し&トンチキ
音楽ネタが9割の短編・中編集。「最高の盗難」というタイトルに改題されてるらしい。ミステリーは一作目だけで、二作目はクスッと笑えるようなコメディ三連作。三作目はひたすら音楽の話。楽しめる部分もあったけどやっぱ根本的に音楽好きで詳しい人、興味ある人向けの本だ
信者の集団自殺で有名なアメリカのカルト宗教人民教会、その決行前に、日本の探偵が乗り込む話。やってる内容はまあ普通の(?)連続殺人事件なんだけど、「それ触って大丈夫なの?」という危うさを感じるとんでもない舞台設定で、主要な人物でも容赦なく死ぬ最後まで読めな
殺される夢を見たら死ぬ。比嘉姉妹久しぶりの長編。一部は「僕」の名前が頑なに伏せられていることに引っかかりつつも普通に話が面白くサクサク読んでいた。が、二部で種明かしされてその時感じた「面白さ」が一気に薄気味悪くグロテスクなものに変わる。精神年齢が中学生で
ワシントン・ポーの二作目。主人公が逃亡者になる系ミステリはしんどいのでOPを読んだ時は身構えてたけど、そこから遡る形式で時系列が追い付くころには絶体絶命って感じでもなかったので思ってたほどストレスはなかった。キートンという得体のしれない強キャラと時間制限
一部合本(烏は主を選ばない~弥栄の烏)と外伝「烏百花 蛍の章」まで読了。一巻の女同士の宮中バトルも面白かったけど二巻からの雪哉編めっちゃ面白かった。こういうちゃらんぽらんに見せかけて強キャラな男が好きすぎる。学園編とかめっちゃわくわくした。気に入らない先
シリーズとしては三作目になるのかな?二作目飛ばしてるけど内容は一作目で語られる「蓮野が過去に解決した事件あれこれ」なので特に問題なく読めたし何ならこれを一番最初に読んでもよさそう。時系列は繋がってるけど章ごとに一つずつ事件を解決していく構成だったしその意
全四巻一気に読了。序盤は説明が多いし聖域編は特に分かりにくかったけど、ものすごくテンポよく二つの話がぽんぽん展開されていくのでよく分からないなりにも続きが気になってどんどん読んでしまった。最後まで読んでも歌で思考エネルギーを思考原野から取り出すとかスペル
冤罪で国を追われた天才魔導士が百年の時を経て腐敗した王都に舞い戻り、国を正常に導く話。けっこう長めのシリーズっぽいけど外伝的な立ち位置なのか問題なく楽しめた。というかこのシリーズ二作目くらいまで読んで挫折したことあったんですよね。雰囲気とか世界観は好きだ
ギャグ系ミステリ。イカガワ市シリーズの三作目だけどむか~し一作目を読んだくらいで内容ほぼ覚えてない。完全に人間関係できてる感じだったけど特に問題なかった。ギャグは人を選びそうだけど個人的には楽しめた。いやギャグ自体はそんな刺さらなかったし映画ネタもよく分
大正時代、秘密結社に関わっていた博士の死、四人の容疑者と美貌の探偵。というなんともそそられる雰囲気で全体的に楽しかった。要は御手洗シリーズみたいな和製ホームズ&ワトソンってことかな?と思ってたけど蓮野はそこまで突拍子なくもないし、井口くんも有能。というか
サクッと読める短編集。・「そしてクマになる」現代版ソフト山月記みたいな不穏な雰囲気が漂ってたけど、最後には戻ってこれてよかった。プライドは高いけど子供への愛情、妻への信頼はちゃんとあったからだろうか。・「家政婦」主人公は真面目系ミーハー女子って感じで俗っ
ファンタジー源氏物語っぽい世界観で后の座を賭けた姫君達の華麗なる宮中バトル…と思いきや最後の方は犯人探しミステリーみたいなどんでん返しもあって面白かった。最初は登場人物がわっと出てくるし用語もややこしかったけど、慣れてきたころに明かされる驚きの世界観とい
ルパンの娘シリーズの三作目。二作目のラストで衝撃の恋愛フラグが立ちこれは荒れそうだ…と思ってたけど、恋愛の方はびっくりするほどとんとん拍子に発展した。ミクモもかなりの変人だけど、渉もそれ以上のトンチキっぷりで二人を取り巻くやり取りが面白かった。ミクモがツ
「屍人荘」の三作目。とはいえ二作目読んでないし一作目読んだの前過ぎて誰一人名前覚えてない状態だったけどそこはあんま問題なく読めました。最後に出てきた人物は「誰?」だったけど…。一作目は「ゾンビでクローズドサークル」だったけど今作は「首狩りジェイソンでクロ
比嘉姉妹シリーズ中編集。本ってだいたい一回だーっと読んだら読み返すことをしないので過去作のゲストキャラ正直あんま覚えてないのだけど、「料理研究家のゆかりさん」と「リホ」って名前だけはうっすら憶えてた。そして一話目の「母と」で「悪い本物」の話があったけどそ
燃える双子というのは何らかの文学的表現なのか…?と思ってたら本当に燃えてた。人体が発火するという奇病(?)設定こそあれ、本質的には訳アリ問題児をこれまた訳アリな大人が面倒見て互いに成長していくっていう王道ハートフルストーリー。双子はリリアン相手にはわりと
SNSでバズりがちな迷惑行為の現場を突撃取材、というヤラセで数字を稼いでいたゴミクズテレビマンだが、ある時子飼いのDQNがガチの通り魔被害にあい…という話。序盤の迷惑行為はただただ不快だし美容師視点も無敵の人導入編って感じだしで前半は読んでるのが辛かった。ハヤ
少し不思議系江戸ファンタジー。裏表紙のあらすじは普通の事件ものっぽかったのに付喪神を使役する陰陽師の話でびっくりした。急に小烏丸と抜丸が出てきてニヤニヤしちゃった。保護者であり従者であり竜晴様大好きな付喪神達が可愛い。そんな付喪神達からもドン引きされるく
法医学系ミステリ。こういう刑事や探偵の視点ではなく別の専門的な立場の話好きだから読んで良かった。キャシー先生めちゃめちゃいい人だし面白いし優しいし、ミツザキ先生が怖いぶんキャシー先生の明るさに救われる。真相については「一番優しくて人間できてるえらい人はだ
とても面白かった!ぶっちゃけ冬至の夜に語り部たちが集まって夜を明かす…ってあらすじの時点では期待値低く、よくある短編連作かな~と思ってたんだけど予想以上に面白かった。独自の世界観や文化をかなり作り込んでるっぽいのに、情報を適宜ナチュラルに物語に混ぜながら
普通の時代ものかと思いきや、近未来の日本国内に建国した独立鎖国国家江戸に移住するというなかなかにぶっ飛んだ話だった。とは言え文明レベルはかなり徹底して江戸基準に合わせてるし宇宙人は出てこない。設定自体は面白いし江戸の暮らしもいいもんだなあ、と思う反面医療
初めて読む人だし下調べも全然してなかったけどタイトルに惹かれて借りちゃったのでアリスという名前の持つ魔力すごい。タイトルで借りる(買う)と割と失敗すること多いんだけど文章読みやすいし海外小説特有のなんかテンション高めな雰囲気もなくサクサク読めた。ただ中身
ホーソーンシリーズ四作目。今作は主人公のアンソニーが容疑をかけられる。時間制限キツキツなせいか最低限の聞き込みでサクサク情報が集まってくるのが快適だった。色んな人皆うっすら怪しいしおかしなポイントがあるけど決定的とは言えないし…?という感じで最後まで犯人
返却された本に押し花の栞が挟まっていた。その花を調べるとトリカブトだとわかり…という話。図書委員コンビの二作目だけど前作の記憶が9割なくて、松門の意味深な態度とかがまじで何も思い出せなくてちょっと悲しい。美容院行ってカリスマ美容師の悪事を暴くか何かしたエピ
冲方丁初のホラーということだったので期待しながら読んだ。題材というかメイン出てくるのが建設業、それも親族経営の小さな会社っていうのが嫌~なリアリティがあってよかった。がっつり神職とか村の訳知り霊感ババアが解説してくるタイプの話も好きだけど、こっちのがビジ
カササギ殺人事件の続編。前作のことは探偵の名前に仕掛けがあったことくらいしか覚えてなかったけど問題なく読めました。前作の時は作中作と現代編の切り替えのたびに「いいから続き読ませてよおおお!」と身悶えしてたけど今作は今作で渦中の作中作をなかなか披露してくれ
アステカ信者の麻薬密売人の話。…というとざっくりし過ぎなんだけど他にまとめ方が分からない。アステカの神や儀式の話は面白いし、裏社会のあれこれやバルミロの逃亡劇も興味深い。…が、それだけ。中盤くらいまで話が何か動きそうだな?と思ったら視点が入れ替わって別の
石油プランテーションの職員全員が無残な死体で発見された。凶悪ウイルスと戦う自衛隊員と感染症学者の行く末は!!??…というバイオミステリかと思いきやまさかのシロアリパニックでした。この流れ、某カマキリパニックを彷彿させる。いやどっちも全然笑いごとじゃないし
御手洗シリーズ海外編。全体的に漂う不思議な雰囲気が面白かったけど、トリックは古典的×単純の組み合わせでそれでいいんか?感はある。あえて古典的ドシンプルトリックに戻ることが逆に良いのかもしれないけど本文の長さの割りに合わないというか…「スカボロゥの祭り」の
盲目少女の波瀾万丈だけどどこか平凡な日常もある物語。最初は小川糸節全開の癒し系キラキラ物語かな?と思いきやじわじわと不穏な気配が漂い始め、孤独なゴミ屋敷サバイバル編に突入し落差がすごい。そしてゴミ屋敷編を生き残ると一気にやってくる、障害者の現実。障害者と
比嘉姉妹短編集。・「鏡」のラスト無自覚モラハラ夫なんとなく改心したのか?そこまで改心したようには見えないけど…?と思ってたら「ぼぎわん」の夫だったんですね、完全に忘れてた。結局未来は変えられなかったってことか。・ナチュラルに虐げられる現代女性への救済話が
刀城言耶が出てくるのにいつもの感じのタイトルじゃないんだ?と思ったら本人は最後まで登場しなかったので番外編的な立ち位置なのかな。因習村の怖ろしい怪異と思いきや実は人為的な事件ででも説明付かないところもほんのりあって、というタイプの短編集でサクサク読めた。
凶悪おばさんに一家が洗脳される話。実際の事件が題材らしい。話の内容も洗脳の手口の詳細と発覚の流れ(このへんはフィクションだろうけど)までやったらそこで終了、という感じで面白いというより胸糞悪さの方が残った。無理って程ではないけどエログロ排泄と不潔・下品な
記憶を失ったクソガキと生首侍の不思議な旅物語。ほんのり心温まるイイハナシダナー系のお話かと思えばそうでもなく、時に現実は厳しい。あおの国の病とか雪国の血吹雪とか結局何なんだよ???ってなったけど考察すれば色々と解釈の仕様もあるのかもしれないし、特にないのかもしれ
めちゃめちゃ大雑把に言えば、ハリーポッター猫又バージョン@江戸。もちろん中身は全然違うけどぽんたがロンで白花がハーマイオニーで、かぐらがハグリットで長がダンブルドアで…とか当てはめてるとちょっと面白い。対立してる陣営から新米を集めて学園生活したり、新米の
商売一筋だった60年の人生一足先に「あがり」、これからは悠々自適の隠居生活と思っていたら、趣味の一つも訪ねてくる友もなく孤独を感じていたところ、孫が厄介事と共に転がり込んできて…という話。孫の千代太が連れてきた子供達にガミガミ言いつつも結局世話をしてやり
主婦の生々しい不倫話から、今をときめくイケメンタレントの秘書がどう繋がっていくのか期待しながら読んだ。犯人が記者を拉致したとこらへんから被害者同士のほんのわずかの接点が一気に繋がって面白くなったけど、最後まで見るとなんか思ってたよりしょぼい犯人だったなっ
ミステリーというより社会派寄りなのかなあ…?文章が読みにくくてかなり飛ばし飛ばし読んだ。読みにくいというか同じ内容、似たようなエピソードの繰り返しが多くてダレる。特定の人物の過去や人柄を描くパートを補足したり視点を変えて何度も語るけどほとんど新しい情報が
えげつない焼かれ方をした焼死体が連続して発見される。イギリス中がガクブルしている中、遺体に主人公の名前がすごくわかりにくい感じに刻まれていることが分かり…という話。事件はものすごく凄惨だけど、有能だけど強引でワンマンなポー、天才だけど天然電波系コミュ障のテ
湿地と共に逞しく生きる少女と一つの死体の物語。表紙裏のあらすじで「家族に見捨てられテイトも去っていき…」と書いてるので、父親と打ち解けるシーンもテイトと交流していくシーンも読むのが辛かった。幼いカイアが沼地から食べ物を得て、稼ぎ、傷を癒し、慰められながら
急激な銃の普及によって多発する凶悪犯罪に対抗すべく、少数精鋭の特殊部隊が組織され使命を果たすまでのお話。冒頭の吉良の制圧シーンがかっこよくその時点で引き込まれてしまうんだけど、この人の作風なのか全体的にドキュメンタリー調で物語が進行する。たびたび「あの時
資産家の老婦人が、自分の葬儀の手配をしたその日のうちに殺された。彼女は人気俳優の母親で後ろ暗い過去もあり…という話。天才型で意味深なことばかり言う探偵役と探偵に振り回される助手役、という王道の組み合わせなんだけど、ホーソーンはホームズより感じ悪いしつんつ
嵐によって閉ざされた離島で、修学旅行の再現という趣旨の同窓会旅行が催される。主催者は直前でドタキャン。そしてその晩一人が首を切られ…という、いかにもそして誰もいなくなりそうな気配がするお話。タイトルはもちろん冒頭から明らかにクローズドサークルものが始まる
猫の傀儡師ミスジが人間のアジロウを操って猫町の事件を解決していく話。という設定が既にかわいい。傀儡といっても不思議なパワーで操るのではなく単に猫好きな人間の周りをウロチョロして誘導し、聞き込みなどをさせ事件を解決させるというもの。要は猫のかわゆさにものを
短編ホラー小説集だけど話ごとに趣向を凝らしてるというか、それぞれ違ったテイストで面白い。ちゃんとオチがあるものが大半だけどよくわからない感じでぼかしてるものも。ただオチであっと驚かせる系は途中で「なんかこれ怪しいよね」と分かってしまうこともちょくちょくあ
お菓子系時代小説。一話完結のほっこり人情ものかと思いきやけっこう大きく話が動いてメインの流れも面白かった。石海がお君を孫のように過保護にしてるのが可愛かった。お君が店継ぐのは時代柄難しいんだろうけどみおつくしシリーズ好きだったのでお君には頑張ってほしいな
最初は何だこのマトリョーシカ怪談はと思ってたけど牛の首拡張バージョンみたいな感じ?「一番怖くなるところ」に辿り付く前に次の語りが始まって永遠にオチに辿り付けない、という現象自体が「怖いところ」なんだろうけど正直まどろっこしさの方が勝ってしまった。あと記録
カルト宗教から脱出する話。正直種明かしでのスッキリ感より残された謎とかツッコミどころの方が気になってしまった。本当の「邪教の子」や久木田との関係の種明かしのとこはなるほどな~~~となったけど、それ以外はヒントが多く途中で察してしまうことが多かった。一部の
久しぶりのまんまことシリーズ。大水とかお雪とかほぼほぼ忘れてて一巻飛ばしたのかどうかも分からない。飛ばしてないような気はするんだけど。中盤の終わりくらいまで完全にお雪ルートだったので急にひっくり返ったと思ったら即別の娘といい感じに収まったのは驚いた。でも
隠蔽捜査シリーズの6巻目やっと読めた。今回はストーカー犯罪篇。何事にも本気でテキパキ行動する竜崎が娘と彼氏のちょっとしたすれ違い?揉め事?にも本気出すのが面白かった。彼氏を自宅に呼ぶのと同時に生え抜きのストーカー犯罪対策係を二人ともなって帰宅する警察署長
ダークな感じの短編集。正直一話目を読んだ段階では小さい規模の叙述トリックやりたかっただけ?と思ってしまったけど全部の話がちょっとずつ繋がっているタイプの作品で、読み進めるほどじわじわ面白さと不気味さが増してくる感じが好みだった。系統としては「鬼の跫音」に
作家アリスと探偵火村先生シリーズの長編。事件自体はシンプルで何か劇的な演出や凝った趣向がある訳でもなく、被害者の人間関係もいまいち希薄、とりあえず接点がある人を洗っていくしかないけど進歩してるのかしてないのかイマイチ分からなくて意外と厄介…みたいな話。読
本当に怖いのは人間だと思った?残念!物理的に干渉してくる怪異です!!!当たり前だろ!!!!たかが人間如きがやれることなんて限られてんだよ!みたいな感じの現代ホラー短編集。必殺仕事人的な趣もあり基本的に因果応報なので、全体的にじっとりした空気が漂いつつも読
エリートだが職場に恵まれず行く先々でオカルトな目にあい職を転々とするモトロイさんと行く戦後の暮らし紹介シリーズだ!今回はさんざん密室密室と煽ったもののトリックそのものはドドドドドシンプルだし、というか明確な証拠や証言もないしすべてはハッキリしないまま終わ
いつの間にか新作が出てた心霊探偵シリーズ。前作の内容ほぼ覚えてないけど特に問題なかった。オカルト×探偵といううさん臭さのマリアージュみたいな職業だけど濱地先生の圧倒的常識的紳士オーラでいちゃもん付けられたりするようなことがないのでそのへんのストレスはない
ずっと読みたかった文庫屋シリーズ二作目。いつもの一話完結型かと思ってたらけっこうがっつりメインのお話があったしまだ謎が色々残ってる感じだった。お蓮についてはああいう化け物サイコパス的な悪役は生死不明で終わるが定番なのでいいんだけど、村田屋の過去の事件がほ
最愛の娘を殺された父親が残した、やや短絡的だが切実な復讐劇の記録。と思いきや…。ぱっと見とりたてておかしくもない手記の違和感を指摘して現実との確認や対比をしながら過去を探っていく構成が面白かった。手記の中では「悲しい過去を持ちつつも愛に溢れた幸福な家庭」
謎の多い絵師俵屋宗達が実はキリシタン大名の少年使節団と共にローマに行っていた!!?という新解釈美術史物語。ほんまかあ??と思いつつも原田マハの作品はこういう系統の話が一番好き。最初に歴史的事実として四人の少年の行く末が語られてるので、彼らが出会いぶつかり
足だけの幽霊として舞い戻った主人公が秋葉原の凸凹おまわりコンビと共に町で起こった事件を解決しつつ自分の死の真相を突き止める話。オタク文化描写が若干くどい感じはしたけど全体的にコミカルで面白かったし母親との再会は泣いちゃった。玲奈の元ネタがすごい気になるん
スカした感じのサイコパスな主人公が色々大変な目に遭ってちょっとまともになる話。この世界、無造作に人を殺していくタイプの凶悪なサイコパスが集結してて治安が悪すぎる。最終的にはちょっとしたバトロワ状態。まあそのうち四人は血縁者だし、サイコパス遺伝説を肯定論も
仄暗い秘密を共有する子供たちが大人になり殺人事件が起こる。その犯人は幼少期の秘密を知っているとしか思えない人物で…という話。犯人は自分達幼馴染の誰かに違いない、という状況から怪しい人物が二転三転していくさまはハラハラさせられるのだけど、そこまで予想を裏切
急逝した先輩歌舞伎役者の息子の後見人になったがややモンペ気味な母親が付いてるうえに同い年の自分の息子よりめちゃめちゃ優秀で…という話。面白かったんだけど主人公の立ち位置を思うと終始胃が痛い。タイトルも物騒でどんな泥沼が待ち受けてるんだ…と終始ビクビクしてた
みんなが憧れるイケてる夫婦のためのノルマとか伝説プロデューサーは極端だなあ…と思いながらも同時に「ここまではならんやろ」と思える範囲だったんだけど、千年祭の話になると極端どころかぶっ飛びすぎてて頭がおかしくなりそう。そして千年祭みたいな狂った世界を突き付
去年出た三島屋シリーズ第七弾やっと読めた。どの話も切ない感じのほんのり怖い話でとても好みだった。「火焔太鼓」は兄と兄嫁目線だと更に複雑で壮絶だったんだろうなと思う。「一途の念」は妻としての愛情通り越して執念って感じで、強すぎる想いは一種の脅威でもあると感
何考えてるかわからんイケイケワンマン刑事黒木と優等生刑事神崎のコンビが色々事件解決していく話。一話完結でサクサク事件解決していくタイプの話は気軽に読めて好みではあるんだけどキャラ萌えできたらもっと楽しかったんだろうな~と思う。いつの間にか裏で暗躍して仲間
京極堂系ホラーかと思って読み始めたけどどっちかというと明治維新前後の歴史や文学が好きな人向けだろうか。迷える客人が不思議な古本屋弔堂を訪れ、主と対話していくうちに何かを悟り「自分だけの一冊」を手に入れるっていうよくある構成の一話完結型だけど、その客人が悉
南の島で不自然に連続する自殺者と突如現れた巨大なカマキリ。その関連とは一体…!?なあらすじからしてバイオミステリ系でバックに怪しげな製薬会社でも絡んでるのかと思いきや、まさかのカマキリ大戦争だった。オチといいまさにB級パニックスプラッタ映画って感じの話でこ
文庫屋の下っ端で、岡っ引きの跡取り未満というどちらも見習いな北一が頑張る話。最後まで読んでも文庫屋はまだまだこれからだし岡っ引きには正当な見習いですらないので早く続きが読みたい…!おかみさん出陣の話めちゃかっこよかったし、北一はしばらく文庫屋の方頑張って
比嘉姉妹シリーズだと思ってたけどそうじゃなかった。昔ながらの言い伝えとか地方に伝わる土着のナンタラカンタラとか、そういうちょっと不思議な物事は実は昔の人々が必要に駆られて編み出したきわめて合理的なものなのでした…系の話はお約束だけど、この人の話はそこにプラス現代
いかにもという雰囲気の難解難読な地名や名前がワラワラ出てきてわくわくしながら読んだ。慣れるまで時間かかったけど。最後の種明かしはあまりにもあっさりだったけどそこに至るまでの不気味さやうんちくが面白かった。犯人の動機はサイコパス診断でよくある葬式で一目惚れ
某有名海外ミステリを彷彿させるタイトルなのでどんな大作なのか…Iとは何なのか…と期待しながら読んでいたらまさかの「Iターンの悲劇」で笑っちゃいました。いい意味で。いやこれはこれで現代の切実で逼迫した問題なんだろうけど…。田舎暮らしの現実を描きつつ市長のメン
留学を間近に控えた若き美人パティシエの元に、突然親戚を名乗るクソ生意気な小学生が現れて!?…という、ドタバタホームコメディでも始まりそうな状況から一転、普通に殺人事件が起こる。でも不思議と作品の雰囲気はそこまで暗くならず、懐かしく温かく爽やかでもある
職も妻子も失った男が宗教興す話。・荻原浩の「砂の王国」のレビューでこの作品が同じ宗教系として名前を挙げられてたので気になって読んでみた。確かに宗教モノとして見ると、本作の方が信仰というものの得体の知れなさや危うさ、信仰が浮き彫りにする人の汚さをえげつ
未知の臓器を持つ者、いわゆる異能力者が現代に同時多発的に現れ始めたら?というよくあるやつ(新世界よりとかヒロアカとか)の、その黎明期を描く話。最初から最後まで事態は悪くなる一方でどんどん話が進んでいくので、これどうやって収めるんだ??的な意味で続きが
殺人事件から一年、入れ替わり、蘇り、タイムリミットと少し不思議な現代ファンタジー盛りだくさんなミステリ小説。本編は楽しく読んでたけどラストの「一年後」のどんでん返しでえっ?ってなってしまった。犯人は「殺人は依頼されたもの」と主張してるから、慎介とは顔
大昔にドラマ化してた気がするけどそっちは未視聴。松子視点の過去パートと松子の過去を探る甥視点の現代パートを交互に描く構成に、「松子を殺した犯人は誰か」というミステリ要素や明日香の意味深な言動を混ぜ、単調にならずに一人の女の人生を読ませるという工夫がす
ブラックでホラーな幻想小説的な趣かと思いきや、最後にはちゃんと種明かしパートがあって面白かった。間宵父の所業は気付きたかったなあ!アオパートで説明されると言われてみればそれしかないなって感想。謎解き部分はスッキリしたけど結局間宵の母に関わった人はもれ
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原題は「WE BEGIN AT THE END(終わりより始まる)」。三十年の刑期を終えた幼馴染ヴィンセントが町に戻ってきたことにより、新たな事件が…という話。ミステリーというより過去を清算するために残された時間であがく男と、復讐心に駆られた少女の成長を描く人間ドラマ的な面
児童養護施設を舞台にした(非)日常ミステリ短編連作。人が死ぬ物騒なミステリばかり読んでるとちょっと荒む、でも「ココアをどうやって淹れたか」みたいな日常過ぎるミステリは謎に興味を持てなくてつまらない…という時にちょうどいい塩梅の作品だと思う。子どもたちはだ
タイトル通り殺人鬼フジコが幼少期からいかに歪み、殺人に至っていったかを描いた話。元々スタート地点がいじめ&虐待、一家皆殺し事件の生き残りというどん底ではあるものの、ものの見事にキレーに転落していくさまは「嫌われ松子」を思い出した。藤子は松子ほどスペック高
ルッキズム、醜形恐怖症など、他人には分かってもらいにくい生きづらさを抱える若者たちが、それぞれの問題を乗り越えるために過去の事件を洗い直す…という話。過去の事件をメインで描きつつ、作中作に隠された謎も同時にチラつかせて読ませていく構成で、先が気になってど
少女が失踪し、その彼氏が「自分がやった」と遺書を書いて自殺して終わったとされていた事件を、JKが自由研究の題材として調べ直す話。徐々に明らかになっていく被害者の裏の顔、真相に近づく主人公の口を封じようとする謎の脅迫者、そして意外な真犯人と対決…と、流れはか
乙一の別名義のやつ。道迷いというか知らん間にどこかに瞬間移動してしまう不思議体質の旅作家とその連れが、行く先々で不思議な村や事件に迷いこみ…という連作短編集。時代ははっきりとは書かれてないけどたぶん江戸時代くらい。人々の文化水準はそのくらいだけど言葉は時
クローズドサークル×ゾンビもの…?というのか?トンデモ設定な世界観をベースにミステリーというのがこの人の作風だけど、今回は輪をかけて好き放題やってるような気がする。個人的にはアリだと思うけどちょっと反則みも感じる微妙なライン。この人の話だからヒロインが死
ある一日を一定期間突然ループしてしまうという特異体質の主人公。遺産相続で揉めてる祖父が死ぬ日にその体質が発動してしまい…という話。設定的には祖父を救うため(+身内から犯罪者を出さないため)に何度もトライ&エラーで試行錯誤を繰り返し、その過程で新しい情報を
殺戮する民と殺戮から逃げる民。絶望から生まれた魔物が国を滅びに導くのを止める話。被差別民のタゼーレン視点はなかなか理不尽で酷い目に遭い続けるんだけど、温かい人間関係とたまにある弓での反撃のおかげでそこまでイライラすることなく楽しめた。終盤以外は。タゼーレ
一つの体を共有する双子の少し不思議な話。あらすじにも目次にも「とにかく双子は没落する!」と書かれていて実際見事な没落ぶりだったが、貴族なのに(貴族だから?)どこか飄々として、酒飲んで逃避してる姿ばかり描かれているからかそこまで悲壮感はなかった。なんかこう
ドラマ「ゲームオブスローン」の原作。とりあえず上巻まで読んだ。話の内容はドラマで見て知ってるから改めて原作読まなくてもいいかな、と思ってたけど…ドラマの最終章だけは納得できなくて…!!聞くところによるとゲームオブスローンは原作に忠実なものの途中で話が追い
死刑を逃れるために毒見師となって最高司令官に仕えることになった少女の話。無性にファンタジー読みたい欲がまだまだ収まらず色々調べてるうちに見つけた作品。ファンタジーなのはそうだけどなんか海外のラノベっぽさがあるというか少女小説っぽかった。最後は毒見どころじ
持ってるだけで人格を疑われそうなタイトルだけど中身もちゃんと頭がおかしい。グロテスクというより下品だし汚いしうんこちんちんゲロおしっこばっかでふざけてるとしか思えない文章だけど、話の筋はちゃんと面白いのがなんか腹立たしくてうける。本格推理小説作家の頭脳に
ひそかにライバル視していた同期が公安に移動後、懲戒免職からの行方不明に。納得できない主人公は上層部に不信を抱き、同期を救うために動き出す…という話。真面目で上昇志向もそれなりにあり、上司の言うことはよく聞く優等生。という、社会人としては優秀だけど刑事とし
何度も実写化されてる超有名作だけど意外と観たことなかった。最近貸金庫十億円横領したのが女性だったってことで二重に話題になってたけど、この話でも「銀行の横領は女性が多い」「銀行も客も警察の介入を嫌がるのでなかなか表沙汰にならない」というようなことが書かれて
虫系ミステリ短編集。気楽に読めるおやつ枠。虫系と言っても細かく虫の描写したり虫がトリックに使われるタイプの話ではなく、虫に関するエピソードトークをちょっと交えるくらいなので虫苦手でも全然平気。探偵役で虫オタクのエリサワもさかなクンさんみたいな感じの嫌味の
あらすじとしては杉森くんを殺して少年院に入る前に、やりたかったことをやりつつ杉森くんとの過去を振り返る女子高生の話。なんだけど実態はあけすけに言えば、いじめや家庭環境に問題を抱えてメンヘラ化した本人ではなく、そんなメンヘラに依存されて自分も病んじゃった人
死ぬと近くにいた別の体に精神が乗り移る…という特殊な血筋の3きょうだいが同時期に死んでしまい、てんやわんやする話。あらすじを知らずに読んだんだけど、冒頭からしばらくは入れ替わったことを明言せずに進むもんだから読みにくくて仕方なかった。主人公(視点主)は
「理想の家族」を守るためにタイムリープするがその度に「成功した方」と「失敗した方」で人格と世界が分裂していく…という話。あらゆる平行世界が存在する的な話はよくあるけど、主人公の人格まで分かれて脳内ライアーゲーム大会というのが普通のタイムリープものとは一線
短編集。表題作はレトロだけどそれ以外はSF。・夜の記憶海の描写がすごかったけど主人公のお魚(?)形態がどういう形なのかいまいち想像できなかった。でも人間パートの「人類が地球から追放される」みたいな話は怖面白かった。・呪文SF×オカルトでこの本で一番好きかも。
返却された本に押し花の栞が挟まっていた。その花を調べるとトリカブトだとわかり…という話。図書委員コンビの二作目だけど前作の記憶が9割なくて、松門の意味深な態度とかがまじで何も思い出せなくてちょっと悲しい。美容院行ってカリスマ美容師の悪事を暴くか何かしたエピ
冲方丁初のホラーということだったので期待しながら読んだ。題材というかメイン出てくるのが建設業、それも親族経営の小さな会社っていうのが嫌~なリアリティがあってよかった。がっつり神職とか村の訳知り霊感ババアが解説してくるタイプの話も好きだけど、こっちのがビジ
カササギ殺人事件の続編。前作のことは探偵の名前に仕掛けがあったことくらいしか覚えてなかったけど問題なく読めました。前作の時は作中作と現代編の切り替えのたびに「いいから続き読ませてよおおお!」と身悶えしてたけど今作は今作で渦中の作中作をなかなか披露してくれ
アステカ信者の麻薬密売人の話。…というとざっくりし過ぎなんだけど他にまとめ方が分からない。アステカの神や儀式の話は面白いし、裏社会のあれこれやバルミロの逃亡劇も興味深い。…が、それだけ。中盤くらいまで話が何か動きそうだな?と思ったら視点が入れ替わって別の
石油プランテーションの職員全員が無残な死体で発見された。凶悪ウイルスと戦う自衛隊員と感染症学者の行く末は!!??…というバイオミステリかと思いきやまさかのシロアリパニックでした。この流れ、某カマキリパニックを彷彿させる。いやどっちも全然笑いごとじゃないし
御手洗シリーズ海外編。全体的に漂う不思議な雰囲気が面白かったけど、トリックは古典的×単純の組み合わせでそれでいいんか?感はある。あえて古典的ドシンプルトリックに戻ることが逆に良いのかもしれないけど本文の長さの割りに合わないというか…「スカボロゥの祭り」の
盲目少女の波瀾万丈だけどどこか平凡な日常もある物語。最初は小川糸節全開の癒し系キラキラ物語かな?と思いきやじわじわと不穏な気配が漂い始め、孤独なゴミ屋敷サバイバル編に突入し落差がすごい。そしてゴミ屋敷編を生き残ると一気にやってくる、障害者の現実。障害者と
比嘉姉妹短編集。・「鏡」のラスト無自覚モラハラ夫なんとなく改心したのか?そこまで改心したようには見えないけど…?と思ってたら「ぼぎわん」の夫だったんですね、完全に忘れてた。結局未来は変えられなかったってことか。・ナチュラルに虐げられる現代女性への救済話が
刀城言耶が出てくるのにいつもの感じのタイトルじゃないんだ?と思ったら本人は最後まで登場しなかったので番外編的な立ち位置なのかな。因習村の怖ろしい怪異と思いきや実は人為的な事件ででも説明付かないところもほんのりあって、というタイプの短編集でサクサク読めた。
凶悪おばさんに一家が洗脳される話。実際の事件が題材らしい。話の内容も洗脳の手口の詳細と発覚の流れ(このへんはフィクションだろうけど)までやったらそこで終了、という感じで面白いというより胸糞悪さの方が残った。無理って程ではないけどエログロ排泄と不潔・下品な
記憶を失ったクソガキと生首侍の不思議な旅物語。ほんのり心温まるイイハナシダナー系のお話かと思えばそうでもなく、時に現実は厳しい。あおの国の病とか雪国の血吹雪とか結局何なんだよ???ってなったけど考察すれば色々と解釈の仕様もあるのかもしれないし、特にないのかもしれ