立原正秋、私には最高の作家である
立原正秋を読みはじめたのは、何時だったろう。高校生の時には読んでいた。 高校生の夏、自転車旅行中のユースホステルのテレビのニュースで、彼の死が報じられていた。 そして大学生の頃はとにかく読んだ。 未来が無限にあると思っていた当時の私は、立原正秋の世界に魅了されていた。 何か、日本の亡びいく文化を感じた。 そして、立原正秋は、そんな日本の美を求めて彷徨していているように思えた。 川端康成の『雪国』を今の若い人は、単なる親父の不倫の物語だと思うかも知れない。 昔の倫理観しか持ち合わせていない、年老いた男の勝手な思いや行動の話しだと。 そういう人からは立原正秋の小説も同様に思われるだろう。でも、また…
2023/05/24 20:38