今週の名文(16)
三十年くらい同じことを同じ調子でしゃべっている人がいるんですが、これがこれで、実に退屈な風格が出てきまして(笑)。そういうふうに、しびれるように退屈なものを見ることに、また中毒してしまう。 色川武大 大学時代はずいぶん麻雀にはまっていたこともあって、色川武大(阿佐田哲也)をよく読んでいた。これは天野祐吉との雑誌の対談で、寄席について語った言葉。 寄席は、たまらないくらいの退屈さを味わうために行くのだという。その中にわずかに光る面白さを楽しむ。 そういえば、大学の頃には平日の昼間から頻繁に寄席にいっていて、お年寄りばかりのまばらな客席の中で、いつもと同じようなネタをぼーっと聞いていることが多かっ…
2020/08/30 20:27