うの華4 12
おばさん、泣いているの?。感じた通り、自分の目に映った通り、当たり前の事を当たり前に私はおばさんに問い掛けた。その涙が余りにも美しかったからだろう。子供の目にも彼女の涙に烟る瞳は美しく煌めいて感じた。その煌めきには宝石の様な鉱物の美しさが宿っていた。おばさんは答えなかった。ただ静かに自分の頬を濡らす雫を手の甲で拭った。その後彼女は顔を私から隠す様にしてその身を逸らした。そこで私が大丈夫?と、彼女に声を掛けようとした所でおばさんは彼女の夫の控えている階段へと歩み出した。夫の方もそんな彼女の様子を黙認して、寡黙にじいっと眺めていた。ごめんね、あんた。おばさんの声が聞こえる。と、彼はいや、いいんだと答えていた。私はおばさんの方が悪かったのかと漠然と思った。見るとおじさんは彼の妻の顔から視線を外し、彼の傍へとその視線を...うの華412
2021/11/29 12:07