うの華3 137
四郎は自分の身近で彼を頼る様に寄り添い、おずおずと佇んでいた子のこの言葉に気持ちが揺らいで来た。『確かに母の言う通り、あれは間が悪い所があるからなぁ。』と、内心不安が頭を擡げて来る。う、うんと、彼は言い淀んだ。が、ここまで事を荒立てて来た手前、後にも先にも引けない自分の身を感じるのだった。結局彼は、最終的にまぁいいさと口にした。「本当にいいんですか。」彼の義姉がにこやかに余裕のある言葉を発すると、自分の明るい笑顔を彼に向けた。彼女は男性側の今の遣り取りで、劣勢だった自分や自分の娘の立場が好転しそうだという気配を俊敏に感じ取ったのだった。彼女は喜びで思わず口元が綻んでしまう。方や四郎の母、彼女の方は反対に顔を曇らせて俯いた。またこの子の早とちりかと思うと、嫁の前でこれから先、自分は自分の息子が暗転する逆転劇を見る...うの華3137
2021/03/31 11:31