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2020/05/29

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  • 夢は続くよどこまでも②

    ユメ子さんの悩みを解決すべく、リハビリの先生が立ち上がった。 歌会始に出席するにはお金が掛かると言う悩みだ。 「もしユメ子さんの歌が選ばれたなら、僕が街頭に立って募金を募る」 と、申し出てくれたのである。 「でもね~私一人じゃ行けないから・・誰か付き添いがいるでしょ?」 「付き添い分のお金も募金で集まったら僕が連れて行きますよ。それに娘さんだって付いて行ってくれますよ」と、先生は前向きだ。 「天皇陛下に会うのよ。一体どうすればいいの? もう困っちゃうから短歌は考えたんだけど・・・送るのはやめるわ。 それにね、妹に頼んで送って貰うのも面倒だし・・・」 と、いう訳で短歌の問題は送るのを諦めて解決し…

  • 夢は続くよどこまでも♪

    ユメ子さんは夢見る夢子さんなのです。 とにかく夢が大きいので悩みが絶えない。 今の夢は小説を書いて芥川賞を狙うこと! 「ねえ~、小説を書くって難しいわね。書きたいことは決まってるんだけど、文章にならないわ」 「何を書くんですか?」 「娘のこと・・・題名は『ひまわり』、私って若い頃モテたのよ」 「じゃあユメ子さんの娘時代のことですか?」 「いいえ、娘のことよ。あの子は良い子だから」 芥川賞頑張ってください。 「それからね、歌始に出す短歌も考えないと。でもそしたら皇居まで行って、一晩はホテルに泊まって、着ていく服も買わなきゃならないでしょう?お金が掛かるのよ。そのお金どうしよう」 はあ、、 「バイ…

  • 衝撃発言

    トメさん百歳、小さいおばあちゃん。 トメさんには、トメさんそっくりなかしまし娘さんがいて、週に一度3人で面会に来る。 面会に来ると居室からはガハハ、ガハアハと笑い声が聞こえて来る。 確かにトメさんは居るだけで周りを和ませる力があるのだが・・・ 「いつも楽しそうでいいですね」 と、興味津々で聞いてみた。 「だって、おばあちゃん、私たちのこと忘れちゃってるのよ。 『どなたさんで?』とか『分からんけど、ありがとうございます』って・・アハハ」 「長女の私に『私の子供?でもあんたは旦那が違う』って言うのよ。アハハ、 じゃあ誰の子?って聞くと『隣の家』だって。百歳にして初めて明かされる新事実!! 衝撃でし…

  • ポケットいっぱいの秘密

    ペーパーに執着する人が多い。 ティシュペパーなんぞは絶好の獲物だ。 新しいティシュの箱を開封するやいなやペーパー大好き人の餌食と化す。 ティシュだけではない、ハンドペーパー、トイレットペーパー。 しかし、なぜ? 胸に詰め込み、一夜にして巨乳のおばあちゃんに変身。 トイレに行きズボンを降ろすと、パラパラと丸めたペーパーが限りなく出てくるマジシャンみたいなおばあちゃん。 シルバーカーに詰め込んで、ペーパー売りでもしてるんですか?と言うおばあちゃん。 沢山集めては、人に配り歩く配達ばあちゃん。 おばあちゃんに多いのも特徴だ。 いつか、ありとあらゆる服やズボンのポケットにペーパーを詰め込んでいるおばあ…

  • 名調査員の足元

    ミツエさんは電動車椅子に乗っている。 正義感が強く、社会的に弱い人の立場に立って、色々な活動をしてきた。その経験を生かして、施設の内外に何か不具合は無いかと見回りに余念がない。 「今カーテンを調べてるの」 と、他人様の居室に遠慮なしに入って行ってカーテンを念入りにチェック。 床にきしみがないかチェック。 狭い所にも、車椅子をカチャカチャ操作して強引に入って行き、一体何がしたかったのかさっぱり分からないが、とにかくチェック。 散歩と偽り外に出て行き、側溝にひびが入っていないかチェック。 調査、調査の毎日です。 そんなミツエさんから 「私の足元見てくれる?」 と調査の依頼が来た。 「ほら、ほら、こ…

  • 入れ歯の行方

    カズオさんは森のくまさんみたいな大男だ。何時もお腹を空かせている。 「何か食べるものちょうだいな」 と、手を差し出してくる。 そんなカズオさんの仕事は廊下をうろちょろして、何か口に入る物を探すことである。カーテンの留め具、洗濯ばさみ、その辺に飾ってある小物、クリップやマグネットなど・・・。 で、とうとう究極のものを探し出して口に入れていた。 Sさんの入れ歯が無くなったと、職員全員でゴミ箱から洗濯物の中などを探し回っていた。 そこへカズオさんがやって来てニヤリと笑った。 その口元にSさんの入れ歯が覗いていた。 まさか、まさかだよね!! 入れ歯を2重に入れたその笑顔は、クマと言うよりマントヒヒであ…

  • もう手遅れ?

    『青魚は認知症予防になる』というニュースをやっていた。青魚に含まれているDHAが良いのだそうだ。 Kさん :「おい、婆さん。青魚食べると認知症にならんだってよ」 Aさん :「私は海辺育ちだから良く青魚は食べてたよ」 Kさん :「それじゃあ食べ過ぎてボケたのけ?」・・・ 「ここには青魚食べなきゃならん人がいっぱいいるだろう。毎日青魚をメニューに入れときゃいいんじゃないか?」 Aさん :「そうだなあ」・・・ 「それで、青魚ってなんでえ??」 こんな会話が聞こえてきた。( ´艸`)

  • タイムトラベラー

    ぬり絵を楽しんでもらおうと思い、今日届いた『月刊デイ』のぬり絵の部分をコピーしてお渡しした。 「わし、昨日これ塗ったから」 と、紙を見ようともしない。 入浴にお誘いする。 「もう昨日入ったから、今日はいいわ!!」 と、頑として動こうとしない。 ニュースで『有名人の○○さんが亡くなった』と告げていた。 「〇〇さんならとっくに死んだよ。去年の今頃」 ええっ~と思う、時をかけるじいさんや、ばあさんが結構いますね。

  • 正月さん

    正月さんは365日、ある日の正月を迎えている。 「あけましておめでとうございます」から始まる祝辞を長々と述べた後「乾杯!」までを何度も繰り返している。 何かの代表として大舞台で挨拶することがあったと想像する。 嬉しいような困ったような表情は、娘の結婚式の親父という感じなんだけど・・・出だしが「あけましておめでとうございます」だからなあ? 華麗なる一族で、正月には親族が一堂に会えす中でいつも新年の挨拶をしていたのか? なにしろめでたい挨拶を毎日しているのでこんなにめでたいこともない。

  • 「空が真っ青」

    ウメさんが居室に帰るのは、夜寝るときと、日中おシモの交換のときだけで、あとはデイルームで過ごしている。デイルームでは何となく決められた中央の席に座っているので窓の外を眺めることもあまりない。 そんなうめさんを日中居室にお連れした時、青空が目に飛び込んで来たようだ。 目をまん丸にして、開口一番 「あら、空が真っ青。神様ありがとうございます」 と仰った。 ズド~ンとわたしの胸に突き刺さった! そして今もその言葉は突き刺さったまま、何度も何度も胸の中を回っている。 『空が真っ青、神様ありがとう』 『空が真っ青、神様ありがとう』

  • ガラケーさん

    ガラケーさんは車椅子に座っているのだが、頭が下を向いて膝の上に乗っかっているか、もしくは膝下まで垂れているので、密かにガラケーさんと呼んでいる。 ガラケーさんは普段は二つに折れている。ご飯を食べる時、無理やり両肘を机の上に乗せられて45度まで開くが、45度では机と目の高さがほぼ水平で、お茶碗の中に顔が入りそうになってしまっている。が、しかし不思議な事に、ふと見ると茶碗の中の物が綺麗に無くなっているのである。 ガラケーさんの不思議はそれだけではない。特殊な耳をしていて、こちらの言ったことがかなり変換されて、全然違う言葉に変わってしまうのだ。 「夕ご飯ですよ」→「えっ、警察?」 「美味しそうなお魚…

  • 妖怪差し替えババア

    誰もいない部屋に入って行き、クッションや小物を、あっちの物をこっちへ、こっちの物をあっちへと差し替えては、きちんと整頓する、人呼んで妖怪差し替えババアが存在している。 「あれ?これ、〇〇さんの使ってたクッションじゃん。何でここにあるの???」 何時も一瞬、妖怪の存在を忘れて思うのである。 そんな妖怪だが、人と会うと全く普通の人である。 この間、タオルケットを抱えて廊下を歩く妖怪の姿を見かけて、話しかけてみた。 「これから何処へ行くんですか?」 「私はちょっと、その、あの、#◎%*!◻?△✳€$~」 やっぱり、さっぱり訳が分からなかった。 そんな差し替えババアが最近、別の術を覚えたらしい。他人様…

  • ありがたい言葉

    たまさんは、いつも変な所で言葉を伸ばす。「ありが~~~~とう。お~~だすかり!」と言うのが口癖だ。 声も非常に大きい。 そしてご飯が運ばれると、「まあ、随分あるね。どれ~~~から食べる?と必ず聞くが、これと言って差し出した器から手にしたことは一度もない。 しかし、その「ありが~~~~とう」には、非常に心が和まされる。 たとえ時々目が三角になって、机ごとお盆をひっくり返しても、トイレで指示が入らず、勝手に立ち上がって大失態になっても、暴れて突き飛ばされても、入れ歯が外れなくて噛まれても、何をされても憎めないのである。 「ありが~~~~とう」よありがとう(♡˙︶˙♡)

  • なみさん出て行く

    ショートステイでお泊まりのなみさん。 明日帰るというのに、なみさんは出て行った。 エレベーターにあわよく乗り込み、たまたま壊れていた男子更衣室の扉を開けて夜の闇に姿を消した。 なみさんがいないフロアーは何か違和感があったが忙しさに紛れてしまった。 気が付いて警察に連絡した時には既に警察に保護されていた。 ああ〜なみさん、何故そんなに上手に出て行かれたのか? なみさんは山形出身で、独特のなまりがある。 「そこのよ、坂を登って行ったんだ。公園の木の間を何本も通って行ったんだよ。親切な人がよ車に乗せて警察まで連れて行ってくれたんだ。警察でちゃんと名前言ったよ」 戻って来たなみさんはとっても楽しそうで…

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