『シスター・キャリー』セオドア・ドライサー|栄光を掴む人、絶望の淵に陥る人
『シスター・キャリー』上下 セオドア・ドライサー 村井淳彦/訳 岩波書店[岩波文庫] 2025.06.29読了 昨年末にドライサー著『アメリカの悲劇』を読んだら、どちゃくそにおもしろかった。それまでドライサーの存在すら知らなかったのに。ドライサーの他の作品を探してみたら、この岩波文庫の『シスター・キャリー』があるではないか。この小説が処女作で刊行されたのはちょうど1900年ぴったり。今から120年以上前の作品なのに、色あせていない物語だった。 アメリカの片田舎で育ったキャリーは、姉夫婦の元をたずねてシカゴまでやってくる。当時のシカゴは都会への変貌を遂げている最中で何もかもがキラキラ輝いていた。…
2025/07/10 07:48