心学校 十九の六
最初にお話しした幼児期のヤンチャ性でしたが、許されて明るい外に出されたときには何とも言えない、安心した気持ちになったものです。しかしそれでも続いてヤンチャをすることは、そのことによって普段よりもっと目をかけ、もっと手をかけてもらえることのぬくもりを感じていたのだろうと思います。実子である私は、幼稚園の先生として他の多くの園児をまんべんなくかわいがる父や母を取り戻そうと、仲の良い友達さえも憎い存在になるという複雑な感情が支配する幼児期をおくった想い出があります。父も母も、手をかけてやりたいが他の子との関係を考えると、あえて無視することが平等だと思っていた節もあるような気がするのです。しかし行儀の悪い私を捕まえる父の手は、とても温かだったような、心が伝わってくるような気がするものでした。心学校十九の六
2021/06/26 07:58