存在とかたり:古文化表象の分析
現代人ほど言語や存在に無関心でのうのうと生きている者はいない。 国語教育はたしかに国民全体の読み書きの浸透には益するもので、文明とか生活に恩恵をもたらすものである。しかしながら、言語や歴史学、哲学の取り扱いについては、きわめて凡庸で弛緩した知覚……目の前に再現しうるものしか信じないし、掘り下げない学問的態度をあらわにしてしまっている。 つまるところ、吟味し、没入すべきとされるオリジナルな心情とか感情が重視されるあまり、周囲のコンテクスト、なぜその表象が遺ってきたかという「かたり」のメカニズムが充分維持されてこなかったのだ。取り上げられても好奇の目にさらされるばかりで、絶えてしまった表象も多いこ…
2021/12/30 01:14