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  • 安田川 その55

    純太がまた掛けたのである。 持ち鮎の合計は慎也が囮鮎一匹だけで、純太は囮鮎二匹と掛け鮎二匹の合計四匹だ。 舞の家は島石に向かう道の途中にあった。 朝早くから慎也と純太の試合を見に行こうとする村人の喧騒は鳴りやまない。 舞は二人の試合を見に行くこともせず

  • 安田川 その54

    「岡田師匠は若い時に高知の四万十川で和歌山から武者修行に来ていた小西島一郎と出会うたがです。その時に小西島一郎の釣技に圧倒されて弟子入りをして、三年ほど和歌山の小西島一郎の家の離れを借りて住んでいました。だから私も純太も岡田師匠の弟子やというても結局は紀

  • 安田川 その53

    隆人は驚いた顔のままで慎也に目を移した。 慎也はその様子を一瞥しただけで、また仕掛けづくりの手を動かし始める。 隆人はさっきの糸切れを悪びれるのも忘れたように慎也のもとに駆け寄った。「おい慎也、あんなオモリの使い方って今まで見たことあるか?」「いやない

  • 安田川 その53

    隆人は驚いた顔のままで慎也に目を移した。 慎也はその様子を一瞥しただけで、また仕掛けづくりの手を動かし始める。 隆人はさっきの糸切れを悪びれるのも忘れたように慎也のもとに駆け寄った。「おい慎也、あんなオモリの使い方って今まで見たことあるか?」「いやない

  • 安田川 その52

    「ほりゃ掛かったぁ!」 銀治が立ち上がって大声を上げる。 暴れ狂う掛かり鮎は瞬く間に上手のトロ場にまで達していた。 ナイロン糸が鏡のような水面を縦横無尽に切り裂く。 純太は竿を撓らせたまま機敏に川を渡った。 巨鮎が白い腹をけたたましく返して、オトリ鮎が浅

  • 安田川 その51

    慎也は隆人に代わりの仕掛けを求めなかった。 岸に戻って自分で仕掛けを作り直しはじめた。 金属糸は引っ張り力はナイロンやフロロの何倍もあるが、キンク(折れ)やパーマ(縒れ)には弱い。 このため鼻カン仕掛けとは編み付けという結び方で結束をする。 が、編み付

  • 安田川 その50

    慎也は対岸の辺地に突き出た岩を目を止めた。 素早く囮鮎に鼻カンを通すと対岸へと送り込む。 増水した川に翻弄される囮鮎が苦しそうに尻鰭を振った。 流れが速すぎて太糸では囮鮎が沈まない。 慎也は囮鮎を手元に戻して鼻先に錘を噛ませると、再び同じポイントへと送

  • 安田川 その49

    純太は飛ぶように上に走る。 目立ての銀治は山道の方に回り崖を這い上っていた。 慎也も上に走ったが慣れた純太には追いつかない。 なにより隆人が全くついてこられない。 間違いなく上の瀬の瀬肩には垢が残っているはずだ。 そこを純太らは狙っているのだろう。 し

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