純文学1000本ノック 124/1000 村上春樹『1973年のピンボール』
こんにちは。 今回は芥川賞候補になったことのある村上春樹の二作目の長編『1973年のピンボール』です。 1.ざっくりあらすじ 主人公の僕は、大学を卒業後、翻訳会社を友人と興しそれなりに成功している。変わり映えのない日々のなかで、過去を思い起こし元恋人の故郷に行ったり、熱中したピンボール探しをしたりする。同時並行で大学時代の主人公の友人である鼠が青春時代を過ごした街を出る話が差し込まれている。 2.作品解剖 (1)文体★★★ 僕という一人称で、前半は語りを中心に、後半へ進むにつれて描写の分量が増やされている。突き抜けるような青い空、など手垢のついた表現も目につくが、情景描写がうまく、比喩は独特な…
2023/01/19 12:32