レイモンド・チャンドラーの猫
レイモンド・チャンドラーの猫はタケというなまえだったのだが、 来訪するアメリカ人たちの発音によってタキとゆがめられ、 図らずも、bamboo から water fall へと変身を遂げた われわれはなにかを誤解すること、 おもいちがうことによって、 世界というものの真に近づくのである 『イギリスの夏』──午後は長い 永遠だとジョン・パリンドンはおもう それはまさにイギリス人とおなじくつづくのだ 「アメリカ人特有の咽頭音ってやつがぶり返して来たのさ」とかれはいう、 「長い冬眠から醒めてね」って どこにもトポスを持てない、 われわれの世代 悲しい一撃を求める孤独の果てで われわれはきみをもういちど…
2024/07/15 02:55