蒋介石を「神様」として祀る蔣公感恩堂〜中華民国秘史と台湾現代史の交錯を覗く
台湾南部・高雄に位置する旗津半島には、初代中華民国総統を務めた蒋介石を「神様」として祀るお堂がある。蔣公感恩堂と称すこのお堂は、蒋介石が逝去した1975年に創建の起源を有する。お堂に入ると、正面に観音菩薩、正面左手に道教に由来する三官大帝、そして正面右手に蒋介石の「神像」が配置されている。 戦後、国共内戦に敗れて台湾へ移り、二二八事件以降、戒厳令下の台湾で台湾人の自由を奪い、虐殺の限りを尽くした一人の人間が何故、神格化されているのだろうか。そこには戦後の「中華民国」秘史とも言える大陳島住民の台湾移住が関係していた。 現在、中華人民共和国浙江省の管轄下にある大陳島は、一時期、中華民国の版図にあっ…
2020/04/06 20:47