愛と正義感に生きた関口延男〜台湾原住民から慕われた日本軍人〜
かつて、ある台湾原住民族の部落で人々から慕われていた一人の日本軍人がいた。名前は関口延男。 近衛師団の陸軍中尉であった関口は、1930(昭和5)年10月に発生した高砂族(台湾原住民族)による抗日武装蜂起事件である霧社事件の調査団一員として台湾に渡っている。この調査団の主要任務は事件の真相解明であったが、混乱を収拾させ、すべての高砂族を帰順させることも使命としていた。調査団の人員はいずれも近衛師団の中から選定された軍人であったが、関口をはじめとした多くは、軍人としてではなく警察官として任務にあたっていたという。 関口が配属されたのは天狗警察官吏駐在所であった。日本統治時代には「次高山」の名で知ら…
2020/05/09 06:36