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  • 彼岸花が咲く島 李琴峰 第165回芥川賞

    こちらは断然面白かった。すごく面白かった。 どう説明すればいいのかわからないが、とにかく素晴らしい作品だった。 記憶を失った少女が彼岸花が咲き乱れる島に流されているシーンから始まります。この小説は極めて映像的です。映画にすることも可能かもしれない。もしそうだとしたら、この島はきっと沖縄が舞台になるだろう。そうだ、『神々の深き欲望』や『夏の妹』が描かれた島。しかし小説では、どこの島かは語られない。 流された少女に名前はない。彼女が最初に出会游娜(ヨナ)という同じ年頃の少女。そしてもうひとり拓慈(タクジ)という少年の三人がドラマをリードする。 記憶のない少女は宇実(ウミ)と名付けられ、島のお祭り…

  • 孤狼の血 LEVEL2

    www.youtube.com孤狼の血 LEVEL2 『孤狼の血 LEVEL2』を劇場鑑賞しました。 そうしましたら、なんと記念グッズとしてカードがもらえるのね。びっくりですよもう。びっくりすることばかり。 わたくし、、、正直言いますとヤクザ映画大っきらいなのです。『仁義なき戦い』シリーズもなにもかも大嫌い。北野武監督の一連作品も正直言うと好きじゃないんです。目を背けたくなるような血しぶき。指切ったり銃をぶっ放したり、暴力シーンの連続で、なにがなんだかわからない。そんなヤクザ映画がどうも好きになれません。みなさんはどうでしょうか。 前作、『孤狼の血』では、ヤクザから金をもらいつつ、組と組の抗争…

  • バンクシーって誰? 立体的な臨場感

    イギリスのブリストル出身のバンクシーが果たしてどのようなキャリアなのか謎のままだ。その地元のレコーディンズスタジオの壁画。 耳も塞がれ、口も閉ざされ、この作品ひとつでいま世界がどれほど住みにくい社会かを如実に示している。 バンクシー本人は壁画を描いたことを認めていない。非合法だからだ。非合法で消されてゆく壁画に価値を生み、社会をジレンマに突き落とす。 特に彼は弱い者の立場を意識する。ネズミは弱者の象徴だ。そしてサルもまた彼のモチーフでよく使われる。こちらは愚か者のイメージだろうか。 そして彼は徹底的に政治的なメッセージを作品に埋め込んでいる。それを実物大で体感できるのがこの展示の意味だ。したが…

  • OLD シャマラン

    シャマランの新作を鑑賞。その名も『OLD』 www.youtube.com 映画が始まる前、本人が出てきて本人の言葉で劇場鑑賞についての感謝の言葉などが述べられます。そして本人がこの映画に出てきます。こうしたいろいろな伏線が映画を最後まで誘います。 予告編で映画はほとんど語り尽くされるんですが、実際の物語として面白いのは、このビーチに集められた人々にある共通する内面が秘められているということなんですね。これが最後に効いてきます。 ビーチで全裸になって泳ぐ女性が死体となって、その数時間後白骨化していたり、 ビーチにきたときはまだ幼かった子供が妊娠したり、それはまあ目まぐるしいシーンの連続で息つく…

  • バンクシーって誰? 没入型展覧会

    www.youtube.com すごい!すごすぎる。勢いで映画も見てしまった。『BANKSY DOES NEW YORK』 この斜めの感じは坂を示してます。そして”ハクション!” バンクシーの存在は、オークションで高額取引されたことでより一躍メジャーになったが、それはごく最近のことだ。その時代性は常に過激だ。この作品?はいち早くコロナ感染を皮肉っている。坂道で老婆がくしゃみをすると入れ歯が飛び出す。 バンクシーは世界中に出没し、ゲリラ的に展開する作品を、実物大の大きさで再現しようとするこの展示には、昨年公開されたバンクシーの展示と共通性がある。まさに没入型である。ネットや雑誌で見るものとはまる…

  • 生きのびるために The Breadwinner

    ”The Breadwinner”は「稼ぎ手」という意味だろうか。日本語タイトルは『生きのびるために』。 奇しくも先ごろアフガニスタン政権がタリバンに制圧され、政権交代となったこの時期に、カナダの児童文学者デボラ・エリス(2001年)の原作を2017年に映画化したものだ。まさにタイムリーな映画だ。アカデミー賞にもノミネートされている。 アフガニスタンを外側から描く戦争映画は多く作られてきたが、内部から掘り下げる映画はなかなかない。イスラム原理主義を表現する映画もそれなりに作られてきたが、例えば『パピチャ 未来へのランウェイ』の悲惨さなど、この映画の比ではない。 www.youtube.com …

  • フリー・ガイ

    『フリー・ガイ』『フリー・ガイ』 とてつもなく面白かった。平凡な生活を送る人々、それは自分も含むが、あらゆる人々に夢を与えるドラマだった。 www.youtube.com モブキャラという、ゲームの背景にしか存在しない人物が意思を持って世界を変える、という話。 同じ毎日、同じ生活、同じセリフを語るガイ。彼は銀行マンなんですね。そこに銀行強盗が入ってくる。でもこれもまたルーチンなんです。いつものこと。このフリーシティにはサングラスをしたプレイヤーが訪れてがんがん銃を撃ちます。そしてガイや友人の警備員バディは、ただそこにいる人。だから時々銃で撃たれたり車に轢かれたりする。 ガイは仮想空間のキャラな…

  • ドラゴン桜2

    過ぎたトレンドなのだが、だいぶ前に『ドラゴン桜2』がドラマもマンガも終わったので、一応記事にしておこう。 家の近くでマンガをレンタルして、テレビも最初の2話ぐらいまでは見た。 前作、2003年から2007年まで連載されて、2005年からテレビで放映されたときも盛り上がったが、少なからず阿部寛さんのキャラがもたらすカリスマ性が注目度を上げたものだったと思う。 今回、テレビはほとんど見ておらず、マンガだけの比較になるのだが、前回シリーズで落ちこぼれから東大合格を成し遂げた矢島が髭面で登場する。彼は東大を出て、国家公務員になるがすぐ辞めてNGOに参加しているとい設定だ。彼が受験生を目の前に「東大とか…

  • ザ・スーサイド・スクワッド 極 悪党、集結

    『ザ・スーサイド・スクワッド 極 悪党、集結』 『ザ・スーサイド・スクワッド 極 悪党、集結』 www.youtube.com 前作の『スーサイド・スクワッド』をあわてて鑑賞して映画館に向かう。前作は正直言ってあまりしっくりこなかった。犯罪者集団を国家の防衛に使う、というところまではわかるのだが、何を敵にしてなんのために戦うのかがさっぱり理解できなかった。 そして今回もまたそれは同じだ。20世紀フォックスが送るDCシリーズを素直に楽しむ、というだけの映画だ。そこに新しさはない。 しかしマーゴット・ロビーはいい。すごくいい。彼女が囚われて逃げるシーンはとてもドラマチックだ。この映画、とにかく血し…

  • 貝に続く場所にて 石沢麻衣 第165回芥川賞

    戦前から歴史のある文学賞で、文藝春秋の全文掲載は時々読ませてもらっている。 まず、芥川賞は素人には手強い。純文学というジャンルに対し、どこまで感性を高めることができるか?は経験しかないだろう。正直言うとどの作品もあまり面白いとは思えない。面白い本なら「本屋大賞」のほうが面白いし、「日経文学大賞」のほうが大衆的にとも思える。 芥川賞は、作品の評価もさることながら、選考委員の評価を見る賞なのではないかと思う。かつて選考委員だった石原慎太郎や村上龍という大御所は、特に応募作品に対し厳しかった。辛辣だった。そしてこうした歴代の選考委員の目を突破することができない年、というのもあって、それがこの賞のステ…

  • 華氏451度 ブラッドベリ

    レイ・ブラッドベリの”Fahrenheit 451”初めて読んだ。フランソワ・トリュフォーによって映画化までされた有名小説。個人的にはマイケル・ムーアのドキュメンタリーが連想される。ほかにも何度かドラマ化されているようだが、仔細は省略する。『華氏451度』(1953年) www.youtube.com 乱読中に、先ごろ読んだオーウェルの『1984』(1949年)や『動物農場』(1945年)にも連なる近未来SF小説である。実に面白い。興奮した。 主人公は消防士、ではなく”昇火士”である。書物が禁じられた社会で、本を隠し持っている家を家ごと燃やしてしまう仕事である。タイトルの451度とは、紙が燃え…

  • イン・ザ・ハイツ

    ミュージカルというだけで得した気分になる。ボリウッドがハリウッドに逆輸入されたような映画。そして移民を襲う現代のハイパーインフレなども問題にしている。『イン・ザ・ハイツ』に感動! www.youtube.com この映画の魅力は、とにかく映像を駆使したミュージカルシーンだろう。ミュージカルのモブシーンではインド映画が最先端だが、もともとはハリウッドMGMのオハコ(十八番)だった。それをこのラティーノの映画は復刻させている。これらのシーンを見るだけで楽しい。 この映画に見覚えのあり俳優はいない。そしてほぼ全員が西インド諸島出身者のラテン系で構成されている。主に二組のカップルと彼らと関わりのある人…

  • マーク・マンダース 保管と展示

    現代美術館で見逃したマーク・マンダースの作品が一部残っているとのことで、横尾忠則展の流れで見ることができた。とても良かった。 www.youtube.com マーク・マンダースが提示した”不在”を示す一連の展示には、時間の概念が示されている。そして時間に応じて生み出されたものの朽ち果ててゆくものの対比をひとつの作品に封じ込めようとするこころみだ。これは”未完成”ではなく”不在”ということのようだ。 ”未完成”の概念は、芸術や文学や音楽の世界で示されてきた。そのいずれもが晩年の作品で絶筆であったりしたものを復元するものだった。しかしマンダースは現役のアーチストとして”不在”という概念を壮大なスケ…

  • キネマの神様

    映画に神が宿るといわれる所以は、編集だといわれる。この映画もまた不思議な編集効果によって、映画そのものが時代性を示している。『キネマの神様』 www.youtube.com 山田洋次監督が89歳だと聞いて、この映画がどれだけ貴重なものなのかを感じさせる。そして登場人物の描写が伝統的な松竹のそれなのだ。松竹ホームドラマの伝統は、いま100年の時を超えて継承されていると感じさせる。極めてシンプル。現実には存在しないようなシンプルな人たちが”映画”をテーマにして結実する。 ギャンブルとアルコールに依存する老人は、かつて映画監督を目指していた。そして妻はそんな夫を生涯支え続けた。当時この二人が結ばれる…

  • 雨と詩人と落花と 葉室麟著

    またまた義母からの推薦図書が届きました。今回は葉室麟さんの詩人についての作品。 大分の日田出身の有名な詩人、広瀬旭荘と妻の物語。私この人のこと全く存じ上げませんでした。 亡くなった葉室麟さんの作品は「影ぞ恋しき」や「草笛物語」「秋霜」あるいは「蒼天燃ゆ」など、どれも涙なくしては語れない傑作ばかり。そして知られざる歴史の小さなすき間から見えるものをじっと見据えるような作品が多く、感動に感動が重なります。主人公だけでなく、主人公に連れ添う妻や子供たちの穢れなき純真な心持ちもまた葉室作品に共通する点ではないでしょうか。 時は天保3年頃。豊後日田に広瀬淡窓が開く咸宜園という私塾があって、年の離れた実の…

  • 経済で読み解く日本史 「室町・戦国時代」

    歴史を経済で読み解くってなかなか面白いですよね。上念司さんの著書を初めて読ませていただきましたが、目からウロコでした。とても面白かった。 本書は、歴史を読むというだけでなく、どの時代でも経済政策に生まれるある傾向などを現代に照らして、いわゆる「歴史は繰り返す」ということを立証しようとしています。 序文に大きなテーマというか前提条件が書かれていて「景気が悪くなると過激思想に染まっていく」という一文に、ファシズムやナチス、いまの日本の状況などが重なります。いま日本は戦前の大本営状態だということを頭に入れると、歴史が読み解けてくるような気がしますね。 最も衝撃的で教科書などでも教わらないことは、宗教…

  • サイダーのように言葉が湧き上がる

    www.youtube.com 先日、日経の「春秋」に凋落する日本の残された数少ない世界に誇れるものとしてアニメのことが紹介されていた。(気になる方はこちらをクリック。★)ここに書かれているような甘っちょろいアニメ業界ではないことは誰もが知るところだが、この映画はいろいろな意味で、敢えて時代を逆行するような面が感じられて挑戦的だと思った。素晴らしかった。 前歯が自分で気に入らない女子スマイルと、雑音から耳をふさぐためヘッドホンをいつも耳にしている男子チェリーが、偶然ショッピングモールで出会うシーンは、まるで大林宣彦監督の『転校生』のようで、お互いがスマホを間違えて持ち帰る。いずれも地方都市のあ…

  • GENKYO 横尾忠則はどこへ行くのか

    この一連の膨大な作品群を見続けるのはとてつもなく体力がいる。何しろテーマが広く情報量が膨大で、どの作品にも吸い寄せられるようだ。この迫力は現地で確認していただくほかない。 横尾忠則は歳を重ねるに従って、より内面へと進んでゆく。ひとつは「Y字路にて」のシリーズ。彼のノスタルジーと彼が赴いたあちこちに見かけるY字路を反復することで、都市や街の人々が行き交う交差点に魂と肉体を置き換えている。この交差点で何が過ぎ去ってゆくのか?をいかに生きるかという本質へと導いてゆく。 飼い猫タマとの日々を写真ではなく絵で残した「タマへのレクイエム」もまた素晴らしい。タマへの愛情が溢れている。アーチストが猫を好むのは…

  • GENKYO 横尾忠則とは何者か?

    広大なスペースをもつ現代美術の立体的な作品を次から次へと展示するここ東京都現代美術館で、なぜ横尾忠則が紹介されるのか?については、その場に行けばすぐわかる。彼が二次元的な”絵画”というフレームから逸脱して、抑えきれないインスピレーションを解き放つアーチストであることはすぐわかる。しかし・・・ 横尾忠則はいったい何者なのか?という問いに対する正確な回答はここで得ることができない。彼が次々に生み出す作品とその時代をイメージするのが精一杯で、彼自身がいったいどんな人物なのか?についてはまるでわからない。より混乱へと導かれてゆく。 「地球の中心への旅」というカテゴリーでは、彼が絵葉書などで収集した滝の…

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