素晴らしい企画だったと思う。 それぞれの作家の作品で、国内で分散されている作品を集結させて歴史をなぞる。その変化を探る意味でも極めて優れた企画であった。面白かった。 そしてアートが戦争の世紀といわれる20世紀でどのように変化したか?と問う企画としても見事に整理されている。写実主義を離れ表現主義への変化。二次元から三次元など、アートの選択肢が幅広くなった。 それと平行して、個人的に目を引いたのは美術館の歴史だ。日本に名だたる美術館の多くは1980年代後半に建てられたものだ。そして世界のアーチストを集い、幅広くアートのトレンドを追ってきたのが日本美術館史といえよう。しかし、美術館に限らず、長いデフ…
基本的にシリーズものは見ないのだが、町山智浩さんがこのドラマを推薦されてたので、つられて見てしまった。(映画ムダ話でも扱ってます。)すごい面白い! なかなかよくできたドラマで、このクオリティーを苦もなく見ることができるとは驚きだ。そして『ハリウッド』でも思ったことだが、扱う題材が極めて政治的なところも面白い。大人のドラマだ。 あらずじなどはともかく、思いつきでこのドラマの背負っている主題を並べると、 1、ドラッグやアルコールなど依存症 2、孤独(死) 3、ジェンダー、ギフテッド、アスペルガー こう並べれば、アメリカの社会全体が抱える問題を扱っているのは明らかだ。そして時代を1967年頃を軸にす…
満天の星に、創造の原石たちも輝く -カワル ガワル ヒロガル セカイ- そもそも”アウトサイダー・アート”について知らなかった。渋谷の公園ギャラリーに寄る。のんさんの音声ガイドを無料で聞くことができる。 驚くことばかりだ。驚きの連続。例えば、渡邊義紘氏のこの作品。 全部”落ち葉”である。彼は普通のハサミを手に、またたく間にこれらの作品を作り上げる。そして彼は”自閉症”だ。 さらにこの本岡秀則氏のこの作品。 パッと見ただけではまるでわからないのだが、実は全部”電車”である。 見ているうちに涙がこぼれてくる。大げさでなくなぜか涙が・・・ きっと社会の片隅で、虐げられた人々の心がこれらの作品に広がっ…
時々言われることだが、映画を見ていてがっかりすることというと、ひとつは音楽だ。強引に音楽で見る側の感情を掻き立てるのは罪だろう。これは黒澤明がルーカスやスピルバーグに伝えたことだが、なかなか理解されなかったようで、大ヒットしたアベンジャーズなどのハリウッド映画は音楽がうるさすぎる。そしてくどいほどの説明調なセリフ。映画をただ純粋に見て感動する、という行為に慣れていないと、いつしか見る側もうるさい音楽が欲しくなる。毒されている。「ここでもっとドラマチックな音楽が欲しかったよねぇ。」などと言っているのを傍で聞いて、見る側の力の衰えもまた感じさせてくれる。 しかし音楽や音響が必然で使われるケースもま…
LUDO ~4つの物語~ 恐らく世界で初めてコロナ(covid19)を映画のセリフに埋め込んだ映画ではないだろうか。とにかく素晴らしい。極上のエンターテインメント。そして群像劇。 冒頭、ボリウッドのスーパースターアミダーブ・バッチャンのナレーションで意味深に始まる映画。LUDOというボードゲームを映画になぞらえているようだ。人生ゲームやモノポリーのようなゲームか? それぞれに色分けされた陣地が中央の交差点で交わると、様々な事件が起きてくる。サブタイトルの「4つの物語」とは、オムニバス形式ではなく、それぞれの物語が平行して進んでゆくのである。これが実に面白い。 なにしろボリウッドが得意とする上質…
”日本映画の未来”という意味で、是枝裕和監督が昨今の映画事情について東京国際映画祭のインタビューに応じた内容が興味深い。 ひとつは「東京国際映画祭が世界の国際映画祭と比較して見劣りする。」ということと、「コロナ渦で経営の厳しいミニシアターを救うために、想像以上の寄付金が寄せられた。」という2点についてお話されている。 特に前段の件は深刻だ。 国際映画祭を開催することと、個人的には廃止すべきと思っている日本アカデミー賞とが折り重なる問題のように思う。これはあくまでも個人的意見ではあるが、かつて世界にも高く評価された日本映画の歴史は黒く塗りつぶされてしまった。その要因の一つが日本アカデミー賞だと思…
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