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2019/07/24

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  • 蟹 白石くんはお歳暮でもらったカニを食べていた。 「こいつら間抜けだよな。食べるのに便利な体しやがって。」 そう言いながら足の先からへし折り、間接ごとに一つ一つたいらげていった。 ふとその時、一匹のカニが動いたかのような錯覚が見えた。 「?気のせいか…。」 次の日、白石くんはつまづいて足首を骨折した。 その次の年、白石くんは膝を骨折した。 さらに次の年、股関節を骨折した。 それから毎年、手首を折り、肘を折り、肩の骨を折った。 白石くんは、毎年骨を折っていたが、少しずつ骨折した箇所が上に向かっていることに、薄気味悪さを覚えた。 「このままじゃ、来年骨折するのは…。」 白石くんは来年のために、生き…

  • 花火

    加奈子、好きだよ。 当時の恋人の隆浩は、打ち上がる花火を背に私を見つめて、そう言った。 その後、私たちは別れた。 隆浩は、あまり好きになれなかった。 どこか、頼りなくていつもやきもきしてた。 隆浩は別れたくないとしつこく私に付きまとった。 今では他に彼氏がいる。 そんな私は今の彼氏と花火に来た。いつか隆浩と来た花火会場だ。 ふと、隆浩の気配を感じたけど、気のせいかな? 私はあまり気に留めることなく、花火に夢中になっていた。 加奈子、好きだよ。 そう呟くような声に照れながら横を向くと、彼氏は夜空に上がる花火をじっと見ていた。 え? 今の誰? 「好きだよ。」 はっきり聞こえた。 それは…隆浩の声だ…

  • 虫の霊

    田中正男(仮)さんは、霊感が人一倍あった。 人はもちろんのこと、動物の霊も日常的に見ていた。 しかし、ある疑問が田中さんには付きまとっていた。 人も動物も霊があるなら、なぜ虫の霊は見えないのか? その疑問を晴らすべく、田中さんはとある実験を試みた。 最初の内は踏み潰された虫を夜にじっと見ているだけであった。(それでも幾分か気持ち悪いが。) 見える気配が一向に無い田中さんは、虫を殺してみることにした。 無益な殺生で虫達は次々に殺されていったが、田中さんは「霊が見えない」と、その手を止めることはなかった。 人の霊は夢枕に立つ。 そのことをふと思った田中さんは、殺した虫たちを、自分の枕に詰め込んでい…

  • 留子さんの家

    青森の古民家に住んでいた高守留子(仮)さん。どこにでもいるごく平凡なお婆ちゃんで、その家族も一緒に暮らしていた。 留子さんは家でじっとしているよりも、近所の家に遊びに行っては茶飲み仲間と話しを咲かせることが好きだった。 誰からも慕われる留子さんは人がよく、無理な頼み事でも嫌な顔もせず引き受けてくれていた。 その優しい性格が災いした。 高守家の年長者は夫に先立たれた留子さんなので、家や土地の権利は留子さんに任されていた。ある日付き合いの長い酒屋の爺さんが、店の資金繰りが厳しいからと借金の保証人になってくれないかと、留子さんに頼んだ。 お人好しの留子さんも悩んだが、付き合いが長く信頼していたため、…

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