【映画】仕掛人・藤枝梅安
皮膚が。面の皮が。それだけでここまで物語るのだ。一種の驚きというか。崇高なものを感じさせる何かというか。行燈の薄暗い室内にあって、映画館の大画面のアップショットがとらえる男性俳優陣の貌は、皺、しみ、たるみをあらわし陰影を備える。高解像度化に伴って、つるつるとしみもなく毛穴もみえないキレイな面皮をスタンダードとしつつある昨今のあれこれとは一線を画す彼らの相貌は、たいへんに、とてつもなく、味わい深く、存外に醜さを感じることがなく、ここまで徹底しているということはメイクなのか、とも思いつつ。当然に俳優それぞれ異なる個性・唯一無二であること、その人生の時間の降り積もった結果としての身体であることを示し、梅安(豊川悦司さん)、彦次郎(片岡愛之助さん)、蔓役その他の関係人物の背景の厚みに重ねられている。そこにたぶんわ...【映画】仕掛人・藤枝梅安
2023/02/05 21:08