磨崖和霊石地蔵(広島県三原市)
広島県三原市の佐木島に、潮の満ち引きによってその姿を変える珍しいお地蔵様が鎮座しています。広島県指定重要文化財である「磨崖和霊石地蔵(まがいわれいしじぞう)」です。今回は、この歴史ある磨崖仏について、近年行われた科学的な劣化評価研究の知見も交えながらご紹介します。 海辺に佇む歴史の証人 磨崖和霊石地蔵は、三原市佐木島の海岸、波打ち際に存在する花崗岩塊(コアストーン)に刻まれた磨崖仏です。銘文から、西暦1300年(鎌倉時代)に佛師念心によって製作されたことが確認されており、平茂遠が願主となったとも記されています。高さ約2.7m、幅約4.7mの花崗岩に、高さ約1mの地蔵坐像が薄肉彫りで表現されてい…
2025/05/31 00:00