『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』アンドリュー・ウィルソン/訳:柿沼瑛子 その9
ネタバレします。 第19章「究極の神経症」1960-1962 1960年2月ハイスミスはヨーロッパからニューヨークへ帰国し発売されたばかりの『愛しすぎた男』に対して好意的な批評を受ける。 次に彼女は季節外れのギリシャの旅から得たものを小説に取り入れようとしていた。 これは1964年に『殺意の迷宮』として刊行される。 執筆途中でハイスミスは都会から田舎へと引っ越しするがこのために執筆は難しいものとなってしまう。 ハイスミスは「執筆中の作家が安定したキャラクターでいられないのは常に作品中の登場人物になってしまう」からと述べている。 『殺意の迷宮』は最初のバージョンではひどく取っ散らかってしまったと…
2025/07/14 07:13