田圃に泳ぐ水禽よ
合鴨を使うという発想は、未だない。 昭和六年、香川県農会が稲田に放った水禽は、これ悉くアヒルであった。 (Wikipediaより、アヒル) 大野村、多肥村、鷺田村、田佐村、十河村、田中村、等――香川・木田の両郡に亙り、およそ二千七百羽の購入斡旋を行っている。 この当時、香川名物はうどんにあらず、むしろ良米の産地としてこそ名を馳せていたものだった。 「讃岐米は、阪神地方のすし(・・)米に使はれ、味が良くて粘気が多い。粥に炊きなほしても粘気がなくならない。乾燥がよくて釜殖が多い、普通一升が茶碗で二十五杯なら、讃岐米は三十杯にもなる」云々と、大阪毎日新聞の『経済風土記』に明らかである。 本書をいくら…
2024/07/12 17:11