新型コロナウイルス治療薬の最近の動向(2021/8/20現在・9/28追記)
日本国内では、新型コロナウイルスワクチンの接種がようやく軌道に乗り出してきているところですね。みなさんは、もう接種されましたでしょうか? ウイルスも次々と変異をし、ワクチン開発とのいたちごっこの感もありますが、変異株に対しても、抑制効果は若干劣るものの効果は認められています。とはいえ、現在猛威を振るっているデルタ株では接種率が7割を超えても集団免疫獲得は難しいという報告もあります。 このような状況下、製薬各社が開発を加速させているのが治療薬です。現在、国内で承認されているのは、4種類で、表1のとおりです。これらは、いずれも医療機関でしか投与できないものです。 中和抗体薬(抗体カクテル療法)は、他の3種類が重症例対象であるのに対し、(重症化リスクが高い)軽症から中等症Ⅰの患者が対象となっており、この記事を書いている現在のところ、最も新しく最も期待の持てる薬といえます。 ただ、点滴静注という剤型のため、医療機関でしか投与することができません。発症から原則7日以内に投与する必要があり、病床逼迫の状況では、軽症患者の多くが宿泊療養施設に入っていることから、厚生労働省は宿泊療養施設での投与も可能という見解を8月13日に示しました。ただし、その場合は医師の24時間配置が必要となり、現状では医師の確保も大きな壁となっています。 (8/26追記) 8月25日、厚生労働省は、抗体カクテル療法について、外来診療による日帰りでの投与(投与後の健康観察や容体悪化に対応できる医療機関などに限定)を認める方向で調整を開始した、との報道がありました。感染拡大で急増する自宅療養者への対応を進めるのが目的とのことです。(本当に国の姿勢も刻一刻と変わってきています・・・) (9/28追記) 9月28日現在、抗体カクテル療法は、往診による自宅療養者への投与が可能になるまでに至っています。ただ、軽症ハイリスク患者を網羅できる供給量はないので、海外ではすでに抗体薬が不足しつつあります。 そのような中、抗体薬の供給量を増やすべく、9月27日、軽症ハイリスク患者対象のソトロビマブという抗体薬が特例承認されました。これも抗体カクテル療法薬同様に発症から7日以内の投与が原則です。当面はソトロビマブは入院での使用が前提ですが、いずれこの制限も解除されることになるでしょう。 病床が逼迫している現状では、これらの承認されている治療薬を投与されること自体、難しくなってき
2021/08/26 14:25