これまで、XBRLを使って企業の財務諸表を可視化した例を紹介してきましたが、今後はXBRLの技術的な側面についても記事にしていきたいと思っています。今回は初回ということで、思いつくところから書いてみました。このシステムを構築するにあたっては、実際の企業が提出しているXBRLを取得して解析することから始めました。ところが、いくつか解析を終えた段階で、多くの企業がまともなXBRLを提出していないことに気づきました。より正確に言えば、連結決算データにXBRLの皮だけ被せ、
現在開発中のXBRLシステムを使って、適当に業界を選び、様々な会社の財務諸表を並べて見てみると、同業他社と明らかに様相が異なる財務諸表を見つけることがあります。同業と言っても、連結子会社にどんな会社を含んでいるかによっても大きく変わるので、単純に同業ではくくれないのですが。今回は、そんな話として百貨店を取り上げます。ただ、東急や西武は、連結に含まれる鉄道事業の影響が大きいので外しています。まずは、貸借対照表と損益を対比したグラフです。百貨店4社 BS,PL対比グラフ
財務分析によくあるパターンとして、牛丼チェーンのゼンショー(すき家)と吉野家、松屋の比較があります。専門書でも取り上げられていますし、ネット検索しても大量に出てきます。身近な存在ですし、興味を持ってもらうには良い例かと思います。せっかくXBRLから簡単にチャート展開できるようになったので、ここでも取り上げてみたいと思います。牛丼屋さんと一口で言っても、各社牛丼以外のチェーンも手広くやっているので、財務諸表の数字に占める牛丼の割合は限定的です。3社の資産規模は開きが大きいので
これまで、Edinetに登録されている上場会社のXBRLの計算リンクベース(Calculation Linkbase)から基本3諸表をチャート展開した例を紹介してきました。今回は、実際に計算リンクにはどのような構造が記載されているのかを示すため、階層化テーブルで描き出してみました。以下のサンプルは、サイゼリヤの2018年8月期の貸借対照表です。元データは、HTMLのtableタグで作っていますが、ブログにはめ込むために無理やり画像に落としたので、見にくいかも知れませ
一昨日、四季報の業界地図2019年版を購入しました。このブログで取り上げる業界や会社の物色のためですが、今日のネタ探しになんとなくページをめくっていたらメガネ業界のページに目が留まりました。私の場合、小学校の頃からメガネをかけているのですが、ここ15年程はメガネの三城にお世話になっています。年齢とともに度数もそれほど進まないので、買い換えるのはせいぜい5年に1回程度ですが、身近なところで本日はメガネ屋さんを取り上げます。業界地図では、売上順に、メガネトップ、三城HD
経営効率を在庫に着目して計る指標に棚卸資産回転日数があります。棚卸資産とは、製品や仕掛品、原材料などで、貸借対照表の流動資産に計上されています。計算は、棚卸資産を1日平均売上、若しくは1日平均売上原価で割って求めます。経営分析の教科書でも、売上ベースで説明しているものと、原価ベースのもの、或いは両方掲載しているものもありました。どちらで計るのが良いのかは、業界に依るのかも知れませんし、個別の会社の事業内容に依るかも知れず、ここでは両方表記することにしました。可視化処
前回は、JR各社の財務諸表チャートを取り上げましたが、ついでに首都圏の私鉄及び東京地下鉄の財務諸表を取り上げてみます。東京の地下鉄は都営線といわゆる東京メトロがあり、どちらも上場会社ではありませんが、東京メトロは株式会社で財務諸表はEDINETからXBRLで取得できます。私鉄からは、東急、西武、小田急を選んでみました。まずは、貸借対照表からです。首都圏の私鉄、地下鉄の財務諸表チャート(2018年3月期)どの会社も、巨大な固定資産で事業を行う会社の特徴が良くて
今日は、開発中のXBRL可視化システムで、JRの財務諸表を取り上げてみます。JRには、北はJR北海道から南はJR九州までの旅客鉄道6社、加えてJR貨物がありますが、ここでは、JR東日本、JR東海、JR西日本の財務諸表を可視化して比較してみたいと思います。まずは、比例縮尺によるBS、PL対比チャートから。JR3社のBS、PL(2018年3月期)鉄道業界に詳しくないのですが、3社の規模にはこんなに偏りかあるのかとびっくりです。売上では、JR東日本が明らかに大きい
JASDAQ上場のシベールが昨日(2019年1月17日)、民事再生法申請を行い破綻しました。ラスクで有名な会社で、私もお土産でもらった事があります。以前から苦しい経営が続いていたようですが、民事再生に至るまでの状況をXBRLから可視化してみたいと思います。まずは、基本の3諸表から。(株)シベール 貸借対照表推移( 2018年8月期迄)(株)シベール 損益推移(営業利益) 2018年8月期迄(株)シベール キャッシュフロー推移( 2018年8月
XBRLのリボジトリとしては、日本の金融庁のEDINET、米SECのEDGAR、カナダのSEDARがあります。EUは、委員会のホームページだけは随分昔からありますが、実態があるのかよくわかりません。XBRLの解析処理は、Pythonで実装していますが、国に依らず共通化できるメソッドを実装したXBRLクラスをベースに、EDINET、EDGARそれぞれに特化したサブクラスで構成していて、アプリケーションからは、両国のXBRLを同様に扱えるようにしています。いずれカナダ(
いきなり余談ですが、私が財務諸表に興味を持ったきっかけの一つは、10年ほど前に日本航空が破綻した時、逸早く財務諸表を分析して債務超過を指摘された細野祐二先生の本を読んで感動したことでした。あれから10年、日本航空が、経営の神様、稲盛会長の元で再生を果たしたのは皆様ご存知の通りです。今日は、日本を代表する航空会社2社、ANAと日本航空を比較してみたいと思います。まずは、貸借対照表(2018年3月期)から。ANA 貸借対照表(2018年3月期)JAL 貸
XBRLをベースにした一連の開発では、まず基本3諸表を可視化し、そこから財務分析で使われる様々な指標をチャートなどで表現することを進めています。今回は、総資産回転率です。売上を総資産で割ったもので、資産がどれくらい効率的に売上に結びついているかを計る指標です。総資産の大きさと売上との比は、業界によっても、或いは同業でも会社の事情によって大きく異なるので、回転率が高いから良いとか、低いからどうとか単純に言えるわけではありません。また、総資産と売上の比率は、以前紹介した
街にドラッグストアが溢れ始めたのいつ頃からだろう。自宅の近所では、マツモトキヨシに、トモズ、ぱぱす、スギ薬局、福太郎とあって、トモズに至っては歩いて行ける範囲に3件。トモズのレジで、「ポイントで五百円引きできますけど」とか言われるとその日一日が幸せになる。小市民過ぎか?ポイントがあるので、ついリピートしてしまいますが、これだけドラッグストアがあるとどこが一番安いのか気になります。とりあえずGoogleで「安い ドラッグストア ランキング」と叩いて見たら、トク部(to
「比例縮尺財務諸表」とは、最近読んだ東洋経済「なぜ、会計嫌いのあいつが会社の数字に強くなった?」に出てくる用語です。前回ご紹介したBS・PLチャートは、同じ会社のBSとPLを同じ座標系に乗せて比例縮尺表示しているわけですが、今回は複数社にまたがる比較チャートを作ろうという話です。ちなみに、前回参考文献として上げた「ビジネススクールで教える経営分析」もこの本も筆者は慶應大学ビジネススクールの先生です。そういう学校に一度は行って見たかった。チャートプログラムは、d3.j
可視化プログラムを書くに当たっては、財務諸表分析の本も何冊か読んでみましたが、その中に日経文庫の「ビジネススクールで教える経営分析」があります。スーツのポケットにも入る大きさの薄い本でありながら、財務諸表の見方の勘所がきっちり書かれています。この本では、一つの会社の貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)を同じ座標系に乗せて比較する形を取っています。BSとPLの大きさの比率は、会社に寄るところもありますが、業界の特色が出てくるところでもあります。この可視化システムでは、BS、
流動比率は企業の支払い能力を計る指標で、流動資産/流動負債で計算されます。一説には200%はあった方がいいとか、日銭が入ってくる業界ならもっと低めでいいとか、業種によってもいろいろです。流動資産と言っても直ぐに現金化できるものばかりではないので、現金とか売掛金など流動性の高いものだけで計算した当座比率も良く使われます。流動比率は、数値で示されるものですが、ここでは、流動資産、流動負債、それぞれを構成する勘定科目の対比チャートとして可視化してみました。最近ゴーンさんのニュース
財務諸表の可視化プログラムを開発を進めながら、テストも兼ねていろんな会社の財務諸表を可視化してその状態をチェックしているため、随分多くの財務諸表と出会いました。その中の一つに債務超過という状態があります。債務超過の会社の貸借対照表をそのまま可視化すると、バランスシートがバランスしない状態で描画されます。借方の資産より貸方の負債が上回った状態となり、純資産の部がマイナスになってしまうためです。ネットで調べると、こういう場合は純資産の部を借方側に表示してバランスを取って表示する
キャッシュフロー計算書は、ネット上でも可視化した例がいくつかあるようです。どのように表現すれば、お金の流れがわかりやすいだろうかとアイディアを練っては見たのですが、結局各キャッシュフローを棒グラフで並べるだけにしました。ウォーターフォール的なものも検討しましたが、どのキャッシュフローがプラスとかマイナスとか一見してわかる程度のシンプルな形にしてみました。EDINETのXBRLの計算リンクベースでは、キャッシュフロー計算書は、role名「ConsolidatedSta
損益計算書の可視化をするといっても、損益には、売上総利益から営業利益、経常利益、税引前利益、最終利益とあります。最終利益までを可視化することもできますが、見たいのは本業の状況であり、ここでは営業利益を対象にしてみることにしました。可視化では、借方の費用科目(売上原価、販管費)を左に、貸方の売上を右側にそれぞれスタックチャートで描画します。ただここでも開発上問題になったのは、業界によって勘定科目の構造が一様でないことです。一般的な業界のXBRLの計算リンクベー
財務諸表と言えば、貸借対照表(BS)に損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)でワンセット。今回は、XBRLデータから貸借対照表の可視化について取り上げて見たいと思います。財務会計の教科書では、貸借対照表は一般に以下のように図示されます。 資産負債 純資産今回の開発では、できるだけこの形のまま表現したかったので、借方、貸方それぞれをスタックチャートにして組み合わせてみました。XBRLでは、各科目の構成要素も定義されていて、計算リン
上場会社の財務諸表は、金融庁のEDINETに、XMLの一種であるXBRL(eXtensible Business Reporting Language)でデータベース化されています。このXBRLを上手く利用できれば、チャートや財務分析など、様々なコンテンツに応用することが可能です。また、XBRLは米国でも採用されていて、米SECのEDGARから取得できるので、米国の上場会社の財務諸表も同様に取り扱うことができます。このブログでは、XBRLをチャートやテーブルなどに展
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