百物語 二十九回目「綱渡りの夢」
おれはかなり綱渡りの人生を歩んでいる気がすることもあるが。これはそういうことではなく。子供のころの夢の話だ。子供のころは、よく熱をだしたらしい。一度大病したらしく、その後よく熱をだすようになったと聞かされたが。正直あまりはっきりした記憶はない。おとなになってから、扁桃腺が大きくてよく発熱する体質と医者から言われたことがあり。未だに年に数回は高熱がでる。今は熱がでても夢をみることなどない。けれど、発熱したときに子供のころは決まってみる夢があった。それが、綱渡りの夢だ。あまり子供のころの記憶はないのだが、妙にその夢だけは記憶に残っている。 もちろん。綱渡りを現実にやったことがある訳でもなく。現実の…
2019/03/28 23:10