翌日。 目が覚めると外は明るくなっていた。 私はユリさん家のベッドの上にいて、隣にはすやすやと眠るユリさんの姿があった。 そういえば昨日、ソファで寝ていた私に 「ベッドで寝た方がいいんじゃないですか?」 と、ユリさんが言ってくれて、ベッドで一緒に眠らせてもらったんだ。 セミダルブルのベッドは二人で寝ると意外と狭い。 ユリさんとの距離が近すぎて、今さらながら、なんだか恥ずかしくなってきた。 すると突然、ユリさんがモゾモゾっと動き出し、私の方に向きを変えた。 どうやら彼女も目を覚ましたようだ。 『おはよ』 私が声をかけると、かぶっていた布団で半分顔を隠しながら少し恥ずかし気に笑うユリさん。 その顔…
ユリさん家での初めてのお泊り。 私はソファで横になりながら (このままユリさんと朝を迎えるのか~・・) と、ぼんやり考えていた。 すると目の前にユリさんがやってきて、ちょこんと座った。 「大丈夫です? お水飲みます?」 と顔を覗き込まれ、なんだか恥ずかしくなる私。 少し顔を隠しながら 『いや、大丈夫・・』 と言った。 そしてそのままの状態で少しおしゃべりをした。 何を話したかはあまり覚えていないけど、二人だけの空間で、クスクス笑いながらお喋りをしたのは、すごく幸せな気分だった。 でもきっと、ユリさんは私と同じ気持ちではない。 私のことは、せいぜい「話の合う先輩」ぐらいにしか思っていない。 だか…
ユリさん家での女子会、楽しい宴は深夜まで続いていた。 でもその途中から、私は強い睡魔に襲われていた。 あまりの楽しさに、ついつい飲み過ぎてしまったのだ。 みんなともっとお喋りしたい。 ユリさんの話をもっと聞きたい。 そう思うものの、まぶたが重く、目を開けていられない。 だんだんとみんなの声が遠くなってきて、私はそのままソファに横たわり、寝落ちしてしまった。 それからどれくらいの時間が経ったのだろうか・・・ ふと目を覚ますと、さっきまで賑やかだった部屋は静まり返り、テーブルの上も片付けられている。 どうやら私が寝ている間に、みんな帰ってしまったようだ。 でも私の頭は、まだ半分思考停止状態。 相変…
この前の飲み会で、ユリさんの誘いを断ってしまったことが少し気まずかった私。 でもユリさんはそんなこと気にもしていない様子で、会社では相変わらず 「木下さん^^」 と話しかけてくれた。 この頃ぐらいから、私が会社にいるときはランチも一緒に食べるようになっていた。 私はもともと仲のいい女性社員3~4人でランチを食べることが多かったのだけど、ユリさんも一緒に食べたいというので、仲間に加えてもらった。 そしてそのうち、このメンバーで女子会をしたいねという話になった。 しかも会社から近いユリさんの家で飲もうということになり、その数日後、その女子会は開催された。 あの時行けなかったユリさんのお家。 今回は…
バーベキューの件があってから、私は完全にユリさんのことを意識し始めていた。 ユリさんの姿が視界に入ると、どうしても気になってしまう。 だけど私の中では葛藤があった。 どうせ報われない恋。 好きになってはいけない。 そうやって気持ちを落ち着かせ、ユリさんの前でも平静を装った。 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ユリさんは以前よりも頻繁に私に話しかけてくるようになった。 ユリさんとのおしゃべりはやっぱり楽しくて、どうでもいい話でよく盛り上がった(笑) そんなある日、仕事帰りに、会社の人たちと数人で飲みに行くことになった。 最初は楽しいお酒の席だったけど、お酒がすすむうちに、上司への不満が爆発して…
バーベキュー当日。 あいにく空はどんよりと曇っていて、少し肌寒い。 私は急な仕事が入ってしまい、少し遅れて会場に到着すると、おじさん達はすでにお酒片手に盛り上がっていた。 そんな中、少し控えめに座るユリさんの姿。 彼女は私を見つけると、ニコッと笑って軽く手を振った。 会社ではいつも制服を着ているユリさん。 初めて見る彼女の私服姿は、イメージ通り大人っぽくて品がある。 (やっぱりキレイだな~) 私はなんとなく、そんなことを考えていた。 バーベキュー中もお肉を焼いてくれたり、飲み物を配ってくれたり、さりげない気配りをするユリさん。 おじさん達の長~い話もニコニコと聞いていて、おじさん達も満足気な様…
ユリさんと仲良くなったものの、私は彼女のことを「かわいい後輩の一人」としか見ていなかった。 でも、あることがきっかけで、私は彼女のことを意識し始める。 それは、私が配属されている部署で、親睦会を兼ねたバーベキューを行うことになったときのこと。部署内では一番下っ端だった私が幹事をすることになっていた。 ユリさんにその話をすると 「いいな~、私も行きたいな~」 と言ってきたので 『え!じゃあおいでよ!部外の人でも大歓迎だよ^ ^』 と返した。 でもこの時、私は内心、これは社交辞令だろうと思っていた。 私たちは仲良くなったといっても社内での話。 私なら、わざわざ休みの日まで会社の人と会いたいとは思わ…
ユリさんとの出会いから数ヶ月、私たちは相変わらず、目が合えば会釈をするぐらいの間柄だった。 でもある日、その関係に変化が起きる。 会社の人事異動だ。 この人事異動で、受付だったユリさんが私がいる部署の隣の部署に異動になり、仕事上、何かとユリさんとのやり取りが出てきた。 会話をすることも増え、いつの間にか私たちは普通に話をすようになっていた。 ただ当時の私は、ユリさんへの特別な感情はまだなく、その頃の彼女との思い出や彼女に対する印象は全然覚えていない。 私の中では「同じ会社の子」という認識でしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。 会話もいつも仕事に関することだけで、すごく事務的な感じだったと思…
私とユリさんの出会いは、もう10年ぐらい前のこと。 私が勤めていた会社に、ユリさんが入社してきたのだ。 ユリさんは受付嬢。 私は営業部。 会社に入ると受付に彼女が座っていて、いつも軽く会釈をするぐらいで、会話をすることも、仕事で関わることもほとんどなかった。 初めてユリさんを見たときの印象は (キレイな子だな) それぐらいだったと思う。 透き通るような真っ白な肌と、黒いストレートの長い髪。 クールな目元が知性を感じさせ、仕草にも気品がある。 私よりも4つも年下だというのに、彼女はすごく大人びて見えた。 でもその頃はまだ、ユリさんに特別な感情は一切なかった。 そもそも見た目が華やかで女子力高めの…
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